ふしぎ駄菓子屋 銭天堂5 – 2015/9/7 廣嶋 玲子 (著), jyajya (イラスト)
「銭天堂5 作:廣嶋玲子 絵:jyajya」を読んでみた。
プロローグから不穏な空気の銭天堂。
自販機とガチャガチャが壊されて中身が盗まれてしまう。というシーンから始まっている。
いつもと違って、『アイテムがいつの間にか手に入っている』だったり『知らない男が売りつける』という形で銭天堂という正規ルートではない。
いつもと違う感じがいいなと思った。
『新品ピン』
落とし物として拾った新品ピンをつける男の子の話。漢字が読めない6歳児なので注意文も読まずに使う。けれど、運よく誰も傷つかない物語。
物語はハッピーな感じなので、ほっとした。けれど、それはそれとして『おさがりが嫌』というのと『古いものを使う』っていうのは少し違うと思う。おさがりでも『一度しか使ってなくて新品同様』みたいなものもある。
兄弟が4人もいたら、おさがりになるっていうのはわかるんだよね。親の目線で考えると『どうしても新しいものを用意してあげられない』っていう経済苦はあるから。
そして、幼少期ほど『おさがり』が増える。だから6歳という年齢設定も絶妙だなと思ってしまった。
『おじょうさまココア』
裕福な恋人をゲットした女性が、恋人と親に会うために『おじょうさまココア』でお嬢様になる話。一万円で男に売りつけられる。
ちょっとした所作や知識の差って埋められないとは思う。でも、裕福な人ほどそいう世界ではない人に惹かれるのもわかるし……なんていうか全体的にモヤっとする。
キャラクターがテンプレすぎるからかな。そしてこれ、お嬢様にならなかったら、結局親に反対されて、別れることになるのだろうし……どっちにしても『別れる』っていう選択肢しかないような物語なのも。うーん。モヤモヤする。
『バーチャルバッジ』
ゲームの世界に入るバーチャルバッチを偶然手にした男性が、ゲームの世界で死にかけて紅子に助けられる話。
このキャラもひきこもりのテンプレみたいな感じで、現実感がない。これ、ゲームの世界で死んでた方がリアルな気がする。ひきこもりが『ゲームをしたいからひきこもってるだけ』という世間のテンプレそのままなのはどうなのかな。
ゲームシーンは面白かったけど、子供向けの話としてはモヤっとする。
『暗がりの男』
プロローグとエピローグの間の話。よどみちゃんの画策話。全部書かれてないけどあのキャラかと思ったら、予想通りだった。
『イケ面』
落とし物が届けられて、うっかりそのお面をつけてしまい困ったことになるおまわりさんの話。
おまわりさん、落とし物を勝手に使うのはダメですよと言いたくなる。でも、子供向けの物語だし、そこを突っ込むのは野暮かな。
『スピーチジュース』
嫌がらせに買ったスピーチジュースだったのに、相手にとって良いことになる。それにさらに不満を募らせて新しく嫌がらせをしようとする女の子の話。最終的に嫌がらせを思いとどまる。
最後はジュースを売る不審な男と紅子の話になっている。物語のための物語だなと思って読む。
エピローグはよどみちゃんが捕まる話。一旦、よどみちゃんと紅子さんの対決(?)は終わりな感じ。一方的な執着なのはわかるけど、一方的過ぎて病気キャラかなと思ってしまう。
ひっかかる物語はいくつかある。
ごちそうさまでした。