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「銭天堂20」を読んで

2025/04/29

ふしぎ駄菓子屋 銭天堂20 単行本 – 2023/9/6 廣嶋玲子 (著), jyajya (イラスト)
ふしぎ駄菓子屋 銭天堂 (20)

「銭天堂20 作:廣嶋玲子 絵:jyajya」を読んでみた。

つぐみの巻……だと思ってわくわくしながら読もうと思ったけど、文字だけだと印象が薄い感じがしてしまう。絵(アニメ)のインパクトが強すぎたせいかな。

『どっちウォッチ』
自分で決められない女の子が『どっちウォッチ』を買う話。
これ、先生が女の子に「自分で決められるように」遠足リーダーをやらせるシーンがあるけど、こういうのほんと迷惑だよねと思って眺めてしまった。私も似たような経験があるから、こういう大人(私も今は大人だけど)は本当に嫌。
それに『人に譲る』というのも選択の結果で、悪いことではないと思う。誰かの真似をしているとしてもそれも本人の選択。ここで、大人が子供にやるべきなのはリーダーにならせるではなくて、『自分は本当にそれを選んでいるか』の確認と、必要ならカウンセリング。
『決めることが良い事』という価値観の押しつけも、どうにかしてほしい。

『優秀シュークリーム』
『優秀シュークリーム』を銭天堂で買った男性から奪った優秀社員。『優秀シュークリーム』を食べて、ポンコツになってしまうお話。
人に奪われる話が多くなった感じがしてしまった。『あまえん棒』も奪われてたし。
でも、それよりも違和感があるのは会社員設定なのに、どちらも性格が幼い。こんな会社員で優秀だと言われても、意味がわからない。これに限らず、銭天堂に出てくる『大人キャラ』が幼いのはなぜ?

『リメンバーチョコバー』
忘れ物を失くすために『リメンバーチョコバー』を買った女性のお話。大切な結婚記念日を何故か忘れてしまい……。
忘れる頻度が多すぎるなら他の病気も疑った方がいいのでは?と思ってしまった。でもこれは、微妙なラインなのかな。ただ、なんていうかこれも『どっちウォッチ』と同じく価値観の押し付けみたいなものを感じる。
忘れることを込みでフォローできる環境を整えた方がいいような。

『ある日の情報番組』
つぐみを取り上げた情報番組……。こうやってツグミの紹介して、さらりと物語に混ぜ込むの面白いなと思った。

『もとどおりんごあめ』
古くなったものを集めてしまう男性が『もとどおりんごあめ』を買う話。拾って来たものを直していくと……。
以前の話の「木馬になった男の子」が元の姿になって救われるというものになっていた。最終巻だから、物語をなるべく回収する形なのかな。
直せないものがあるというシーンはアニメでは消えていた。もちろん、最後のあたりの刑事との『なぜ直せないものがあるのか』の考察シーンもアニメにはない。……この回は話が長いのでアニメにすると駆け足+切られたシーンが多いような。

『チャレンジオレンジジュース』
ひっこみじあんな少女が『チャレンジオレンジジュース』を買った後の話。
高齢になるまで銭天堂を探し続けるのは少しホラーな感じがしてしまった。

『満足缶』
AIつぐみが『満足缶』を教授のために買う話。
こういう来訪の仕方があるのか……と思ってしまった。そして、こんな終わり?え? ここまですったもんだやってきて、これ? よどみちゃんのラストが素敵すぎて教授のラストが不憫すぎるなと思った。

最後のエピローグは『相談だんご』で、相手に構ってほしくて病んでいた少女が銭天堂にやってくる話。

こういうオチなのか。
個人的にはよどみちゃんが終わった時点で終わってても良かったのかもと思う。六条教授は天才設定になっているけど、何が天才なのか正直わからない。オチが直接対決でなくて、『つぐみの独走』で終わるのもどうなのだろう。

……だったら、研究所が燃えた時点での終わりでもいい。最後にぽっと出てきたキャラが、全て奪っていくのって『人気だから続けたけど、もういいかなと思って無理やり終わらせた』感が出てきて悲しくなる。


おまけ。アニメ『146話立体焼き』と147話『つぐみ、銭天堂へ』、148話『つぐみの願い』の感想。
ちょうど、アニメラストの放送も録画したまま残っていたので感想を書いてみる。
調べると「チャレンジオレンジ」の話はアニメ化してないようだった。代わりに「立体焼き」の話が入っていて、最後の「満足缶」に当たる話は147話と148話に分かれている。
アニメ化されると物語が変わる部分があるけど、銭天堂ラストも大きく変わっている。
アニメは『つぐみ』が人間の姿で銭天堂に訪れる。小説通りにアニメ化したら絵的にあまり受けないという大人の事情もあったのだろうかと邪推する。つぐみが人型するための『立体焼き』が入ってる。
そして、ラストまで続く六条教授のたくらみが勝つのか銭天堂が勝つのかのワクワクも、アニメの方が魅せ方がうまい。
銭天堂に関しては『アニメ』の物語の方が好き。むしろ最終話とその前だけ置き換えてアニメの話を小説にして差し替えてほしい←暴言。
小説で物足りなかった分をアニメが補ってくれたので、アニメを見ることができて満足した。


とにかく、銭天堂全20巻を読み終えた。終わり。終わった。
次は天獄園? アニメになってから読むか考える。『アニメ』と『小説』の違いを比べたくて読んだだけなので、20巻を読んで銭天堂のファンに……は、なれなかった。

短くてサクサク読める。アニメも短いので、比べるのが簡単というのがよかった。

ごちそうさまでした。

銭天堂20


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