ふしぎ駄菓子屋 銭天堂2
– 2014/1/9 廣嶋 玲子 (著), jyajya (イラスト)
銭天堂を読んでみた。これは姪っ子にリクエストした本。
毎週図書室で借りないといけないケド、何を借りていいのか分からないというので『銭天堂を借りてきて』とリクエストすると借りて来てくれた。
……図書の貸出強制ってなかった気がするけど、今はそんな時代なのね。でも、読まない子は読まないと思うんだけどな。いや。おかげで私は姪っ子にリクエスト出来て嬉しいけど。
そして、一晩で読め。(明日は学校に持っていく)と言うので、頑張って3時間ぐらいで読んだ……いや。2時間ほどかな。でも、ちょっとキツイ。集中力ってそんなに続かない。
銭天堂はNHKでアニメにもなっている。面白くて毎週見ている。本も面白いという書評を新聞で見かけたので読みたくなり、姪っ子にリクエストをした。
1は借りられていて、無かったというので『2』から。続いているわけではないので、2からでも十分楽しめた。
短編が6つ。駄菓子屋のお話なのはアニメで分かっていたけど、私はやっぱり視覚よりも文章で読みたい人だなぁと思う。視覚の方が分かりやすい部分もあるケド、一瞬で情報が流れてしまうので『じっくり読む』事が出来る本の方が情報量が多い。
本の感想とは関係ない事を長々と書いてしまった。
ここからは本の感想。
まず、アニメで見たお話しばかりなので、あらすじは分かっていて読んだ。分かっていても面白い。
一つづつ感想を書いてみる。
『怪盗ロールパン』
アニメを見ても思ったけど、悪党のための商品もあるという事に驚いてしまう。ただし、調子に乗って最終的に捕まるというオチ。いや。これに限らず、銭天堂の商品は『調子に乗ると痛い目に合う』という話がチラホラとある。その辺りはしっかりと児童書だなと思えるので、読んでいて嫌な気分にはならない。
ただ、『顔はまだ若いのに、髪の毛は真っ白だ』という文章がある事に驚いてしまった。アニメだと絵としてそのまま入ってきて銭天堂のおかみについての説明は一切ない。せいぜい『大きな人だ』という登場人物の独白が少し入るくらい。
それしか見てなかったので、『若いのに髪の毛が白い』という表現は『白い髪の毛は年寄りのものだ』という価値観が入りこんでいるということなのかと思ってしまった。
銭天堂のおかみが『年寄りかもしれない』という目で最初は見られるという世界観なのだなと。
他の短編でも繰り返し書かれている『若い』『おばあさんみたいな髪』『顔にはしわ一つない』『若々しい』『顔にしわはなく、若々しく見える』
白い髪だからそうなのか、これが男性キャラだったとしても同じなのか……とちょっと考えてしまった。
『ドクターラムネキット』
ちょっと小さなお客さんの視点だからなのか、他の短編では『赤紫色の着物』となっている着物の表現が『ぶどう色の着物』となっていた。可愛い。その色の表現が可愛い。
少し長めの話だったけど、読んでいてほっこりとしてしまう。周囲の大人たちが、子供だからと無下な対応をしないのもいい。
『お稲荷せんべい』
このお話しはあまり覚えてなかったけど、読み終えてアニメでも見た……ような気がすると思いだした。でも、印象が薄い。
ここまで読むと、銭天堂は『抗いがたい、不思議な魅力でお店に惹きつけられる』店なのだと理解できた。アニメだとさらりとお店に入ってしまうお客さんが多いので『入る気はないけど、店の前を通ると入りたくなる』気持ちにさせられる店なのだと小説でやっと理解できた。
その『抗い難い魅力』の表現も、毎回少しずつ変わっていて、おかみの見た目の表現と同じく読みごたえがある。同じような感情を違う表現でどう書いているかを読めるのもいい。
『ミュージックスナック』
これはお店に入らずに商品を手にする男の子のお話し。ふわりとピアノの音に惹きつけられるというのがいいなと思えた。『調子に乗ると痛い目に合う』というような話に見せかけて、最後で改心するのも素敵だ。
『しっぺがえしメンコ』
これもお店に入らずに商品を手にする。『おかみの味方を商品がする』というちょっと変わった話。一瞬、これも調子に乗る話なのかなと思ったけれど、最後には商品の力に恐れをなして手放してしまう。
出だしが少し気分が悪くなるようなシーンだったのが気になったけど、ラストに『そうだったのか』と思わされた。
『おもてなしティー』
少し『都合が良すぎる』のが気にはなった。いじめっ子と仲直りという話は私にはちょっとモヤッとする。
でも、お茶を入れる度にいろんな人が来るというのは面白い。
プロローグとエピローグもあって、それが短編と少し絡んでいた。
映像とは違って、文字で読む事で気が付く事も多々あるなと思えた。満足☆