虐待死をゼロにするための6つの考察と3つの物語 単行本
– 2019/11/26 椎名 篤子 (著)
「凍りついた瞳2020」を読んでみた。
漫画は以前に読んだけど、これはマンガではなくて……文章。
虐待対応の『現在(2020)』を書いてある。
現在の状況を数値化したり、家族を取り巻く環境の変化や虐待対応の変化について淡々と書かれてある。
眠くなるような話が続く中で、眠る前に『物語』が差し込まれている感じ。
眠くなる理由は一つ、専門的な話が続くからだ。イマイチ、自分の身近に引き付けて読むという事が出来ない。
医療関係の話が多めなので、医療系に関わる人には役立つのかなと思う。
読んだので振り返ってみる。
第1章 救えなかった命。
虐待死のあれこれと、病院での取り組みが書かれている。
基礎知識として、虐待の発生要因や虐待の定義などが最初にあるので、なるほどーと読める。けれど、数値が細かくてちょっと混乱してしまう。集中力の問題か?
発生要因
1.親自身の要因
2.家庭の状況
3.社会からの孤立
4.子ども自身の要因
5.親とその子どもとの関係
……こうやって、羅列してあると分かりやすい。虐待は『親』だけの問題ではないという事が判る。複合要因で複雑。
第二章 命を守る それぞれの役割。
母子支援のあれこれが書かれている。
英語圏では「チャイルドファースト」の視点から「子どもに対する大人の持つ力の乱用(child abuse)」という表現に変わっているらしい。
分かりやすくていいなと思った。
成人の日によく「大人になる=責任感を持つ人間」みたいなのを見かけるケド、その『責任感』って何なのよ?と思ってた。
「自分が手にしている力(身体的・精神的・社会的立場)を乱用しない」という事。
大人は大人と言うだけで、子供より力がある立場にいる。
第三章 死を乗り越えた 子どもたちを支えるために。
虐待を生き延びた子どもたちが感じる「生きにくさ」について書かれている。
「自分はどこか皆と違う」という傷を刻んだまま、成長する樹に例えて解説が進む。
それは『誰もが持ち得るモノ』ではないのかなと思いながら読んでしまった。読めば読むど、自分の中に入っていくようで気持ち悪い。
そんなわけで、虐待された人達は生きる事に困難さを持っている。
物語は読みごたえがあって楽しかった。
虐待の複雑さ。その後の生きにくさ、『虐待の連鎖』と言われるけれども、それが絶対なものとも言えない。
大ざっぱな感じは漫画で読んだものと、同じかなと思ったけど、病院での取り組みや、母子支援、生き延びた子たちの支援。
さらに女性に育児を押し付ける事で、男性は『育て直し』の機会を失っているというのもあった。
虐待について、基本知識を得るにはたぶん読みやすい…のかな。
……でも、細かい数値は……私、苦手だわ。
凍り付いた瞳シリーズ他 虐待防止系の本
「凍りついた瞳2020」を読んで
「凍りついた瞳」を読んで
「続・凍りついた瞳」を読んで
「新・凍りついた瞳」を読んで
「児童福祉士 一貫田逸子」を読んで
「家族の中の迷子たち」を読んで