ふしぎ駄菓子屋 銭天堂3 – 2014/8/22 廣嶋 玲子 (著), jyajya (イラスト)
「銭天堂3 作:廣嶋玲子 絵:jyajya」を読んでみた。
銭天堂3冊目。
銭天堂のおかみに対して若々しいとか、老人という言葉は脳内で除外しながら読むことにした。それでもやっぱり……きついなと思う。
『獏ばくもなか』
呪われたわが子のために『悪夢を食べるお菓子』を買う父親の話。途中で、他のお菓子と迷うけど、獏を手にする。プロローグでライバルの『たたりめ堂 よどみちゃん』が出てくるので、本格的に出てくるのは3巻からなのねと思った。
『留守電でんシール』
自分の代わりに電話に出てくれたりメールの返信をしてくれる『留守電でんシール』の話。
小学生が携帯電話って時代だなぁと思うけど……こういうのって、ルールが必要だよねって言う話に犯罪を絡めて『物わかりのいい子供が一人納得する』のはモヤっとする。
『絵馬せんべい』
2人の願い事がかち合ってしまってどちらも叶えてもらえないので返金になる物語。
今までの物語とは少し違う。『アイテムによるしっぺ返し』や『アイテムのルール違反』ではなくて、『願ったことが叶わなかったから、本当の願い事ひとつにしておけばよかった』と後悔する。
でもこれも……なんていうか、なんだろ。コミュニケーションの問題で『お互いに嫌い合う』必要ってないのよね。「願いを一つにすればよかった」ではなくて、「お互いに別のクラスを望むほど嫌いではなかった」っていう結論だと思うのに、それは書いてない。
『しわとり梅干し』
孫に「しわしわ」だと言われて、しわをとりたいと思うお祖母ちゃんが銭天堂で『しわとり梅干し』を手にする物語。
どこから突っ込んでいいのか分からないくらい。突っ込みどころ満載だなと思った。
まず、『しわがあるからダメ』になってるのおかしい。年をとればしわも出来る。そして、『しわのない老人』は次の『しわのない老人』を作り出すので、この孫が年をとった時『しわがあってはダメだ』という恐怖に囚われるだけでは?と思う。
そして、物語の最後までその価値観は抜けてないし、『しわがない方がいい』で終わってる。それでいいの?
『兄弟だんご』
長男が嫌だという願いを叶えるために『兄弟だんご』を食べて末っ子になる物語。
これもどこから突っ込んでいいの? アニメもモヤっとしたけど、文章にするともっとモヤっとする。まず、『お兄ちゃんだから』は現代ではアウト。でもこの本2014年かぁ。うーん。まだ、そういうの広がってない時期?
次に長子だからと言って、妹弟の世話をする義務はない。子どもの世話は親の役目。これ、ヤングケアラーの話になってる。
いろいろアウトな物語。
『ミイラムネ』
痩せたくて飲んだ『ミイラムネ』でミイラになってしまった姉を助けるために奮闘する妹の物語。
これもルッキズムだし、現代ではアウトでは?姉妹愛に変換されてるのどうなのかなぁ。
『面白くするため』なのかもしれないけど、将来的には『この時代の価値観はこうだった』という話になりそうだなとも思う。
いろいろ辛い三巻目。
いや。10年前ならまだヤングケアラーにルッキズム(見た目差別)、エイジズム(年齢差別)もそこまで広がってないのだろうけど。
巻数が進むごとにこういう差別表現が減ることを祈って……読んでみる。
一般書籍ならばまだ読めるけど、児童書だときつく感じる。百年前の作品なら『時代』と思って読むけど……銭天堂もあと十年たったら「時代だなぁ」と思って読めると思う。読むの早すぎたのかも。