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「鬼遊び 髑髏の手まり歌」を読んで

2024/10/05

髑髏の手まり歌 単行本 – 2019/10/15 廣嶋玲子 (著), おとないちあき (イラスト)
髑髏の手まり歌

「鬼遊び 髑髏の手まり歌 作:廣嶋玲子 絵:おとないちあき」を読んでみた。

鬼遊び、秋バージョン。秋です。紅葉です。表紙は赤。モミジだと思いたいけど、形が……よくわからない。そして、さらりと紛れ込む髑髏。

・お月見
お月見準備のためにススキを集めに野原に行った二人が餓鬼に出会う物語。
お団子は飢餓で死んだ魂を治めるものというのもいいなと思った。こういう世界観好き。
親の手伝いでススキ集めをしてたので、親が助けてくれる。餓鬼たちの魂も浄化されるので鬼遊びにしては珍しい(?)ハッピーエンドだなと思ってしまった。

・かくれんぼ
かくれんぼをしてはいけないと言われていた家でかくれんぼをする物語。
箱に隠れたガキ大将は鬼に入れ替わられてしまう……箱に入ると言えば『猫』を思い出してしまった。でも、出てきたのは『鬼』で、代わりに子供が閉じ込められる。
ただ、閉じ込められて終わりなので、この後『助かる』パターンもありな気もしてしまう。

・指切りげんまん
まき割りと交換に相手の頼みを聞くことになり指切りげんまんをする物語。
相手の頼みが、封じられた鬼の封印を解くことだと気が付き、指切りを後悔する。
そこまでいじわるとか酷い子供でもないので、最後に救われないのはかわいそうな気がする。怖い話なのでそうなるだけなのはわかるんだけど……でもね。うーん。

・虫聞き
虫を売るために捕まえる少年の物語。
綺麗で大きな声の虫を捕まえようと必死に探すと、そこに居たのは髑髏で……。
これは、虫を捕まえる前に『自分が作った案山子』を助けたので、その案山子が助けてくれるという恩返しの物語でもあった。ほんわかするラストが好き。

・通りゃんせ
女の子が欲しい物を願うために歌いながら祠へと行く物語。
これは欲張りすぎたらダメという分かりやすいテーマがあるなと思った。子どもは欲しがりとはいえ、強欲キャラはあまり好きじゃないんだよな。
そして、住宅街という言葉に引っかかる。
この世界観で『住宅街』って合わないような。つい現代的な住宅街を想像してしまった。
町の中とか、家が集まってる場所とか、他に言いようがあるような。

・お手玉
少女が鬼とお手玉対決をする物語。
いばりんぼ娘が鬼の持ってた綺麗な球が欲しくて対決する……ここまでの流れなら、子供が負けて鬼に玉(魂?)を持っていかれるのかなと思ったら、まさかの勝って玉になってた伯母さん(子供の姿)を取り返す物語だった。取り返しても生き返るわけでもないけど、これもほんわかな感じのラスト。


どれも楽しく読めた。秋の風味といつもの前後の歌もいいなと思う。
ただ、今回は前後の歌詞が物語とあまり絡んでないような? 気のせいかな。

ごちそうさまでした。


『鬼遊び 髑髏の手まり歌』


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