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「小泉八雲のこわ~い話9 死者の影」を読んで

2025/12/21

怪談小泉八雲のこわ~い話 (9) 単行本 – 2009/9/1 小泉 八雲 (原著), 高村 忠範 (著)
怪談 小泉八雲のこわ~い話 死者の影・その他四編 (9)

「小泉八雲のこわ~い話9 死者の影 原作:小泉八雲 絵・文:高村忠範」を読んでみた。

5編が載っている。

・子捨ての話
赤子を6人殺した男が7人目の赤子を育てる話。

似た話の海外バージョンを思い出してしまった。こういう話は日本だけではないんだろうな。
「自分を殺した時もこうだったよね」と子供が話しかけてくるのは親としては、やっぱりゾッとするのかな。

・若がえりの泉
水を飲んで若返る夫婦の話。

昔話では白髪頭でも40代くらいで滋養あるものを食べたら、多少若返るのはあり得る話と思って読むことにしている。現代の老婆と昔話の老婆は別物だと思う。
でも、赤ん坊になっちゃったら……男の悲しげな顔ってどっちの意味だと下種な勘繰りをしてしまう。大人の読み方をしてはダメだよね。ここは素直に『赤ん坊に戻ってしまうと一緒の時間を生きられない』から悲しいんだよねと思い直す。

・死者の影(「伊藤則資の話」より)
死者に恋した男の話。

死の直前に親に説明して、死者から貰った硯を棺に入れてくれというのは……それを聞かされる親は切ないだろうな。10年かけて死に向かうの見てるわけだし。でも、10年かけて死の国につれていくの長すぎない? その間にもっといい女に出会えなかったのかとも思ってしまう。

・鮫人の恩返し
鮫人を家の庭で飼う男の話。

鮫人は竜宮から追い出されたという……かなりファンタジー寄りな話だし、怖い話とも少し毛色が違ってた。でも、こういう話は嫌いではない。涙が宝石になるなんて楽しい。

・雉子の話
義父の夢を見て、家に入ってきた雉を助ける話。
雉(きじ)を助けたのに夫は雉を殺し、妻は全てを地頭に打ち明ける。

助けたのに、その雉を殺すの?と思ったら、夫は追い出されて、妻には新しい夫が与えられるという……怖い話なのか、良かった話なのか、よくわからない気持ちになってしまった。

怖いだけではない話が混ざっていて楽しかった。
ごちそうさまでした。


小泉八雲のこわ~い話9 死者の影


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