どこからも彼方にある国 (YA Step!) 単行本
– 2011/2/1 アーシュラ・K. ル=グィン (著),
Ursula K. Le Guin (原名), 中村 浩美 (翻訳)
図書館で借りた「どこからも彼方にある国」を読んでみた。
すごくきれいな物語で、読んでいて心地よかった。
最初は『ゲド戦記』を探したけど、なかった。代わりに同じ作者の別の作品を借りた。
主人公は、頭のいい男の子。思春期真っ盛りで進路に悩んでいる。親の望む進路と、自分が本当に望む進路。周囲の目と、自分も同じにならなければという焦り。
ヒロインは、しっかりと自分の世界と進路を決めていて、とても現実的。ただ、人との関わりが苦手で『音楽』を通してしか人と関われないことに気がついている。
『親との関係』『男女の関係』が複雑に絡まり合いながら、でも物語は淡々と進む。
大きな冒険があるわけではないけど、すごくピュアな世界が好き。
でも、書かれた年代のせいもあるのか、男の子の方が『何で僕の言う事を聞かないんだ』という感じは古いのでは?と思ってしまった。父親の力が強いのも…今だって、そんな家庭はたくさんあるよと言われそうだけど、なんか古い感じを受けてしまった。
主人公の心の揺れは普遍的なのかもしれないけど、価値観みたいなものは……古い。
とにかく、その辺りを除けば二人の関係性は好き。特にヒロインの強さが好き。ただ、ヒロインの芯がしっかりしすぎてて、逆にどうやったらこんな芯の強さをこの歳でもてるのだろうか……と思ってしまった。それだけ、特化した才能があったせいなのかな。
満足した、一冊。