ネコばあさんの家に魔女が来た– 2020/4/1
赤坂 パトリシア (著), めばち (イラスト)
「ネコばあさんの家に魔女が来た 著:赤坂パトリシア」を読んでみた。
実はWEB小説で読んでから、書籍を図書館で借りてみた。大きな違いはほとんどなくてエピローグとホッケケジャリのレシピが書籍にはついていた。
不登校に悩むゆきの16歳と『魔女』を名乗るニワトコさん、ネコばあさんことキワコさんたちの交流の物語。
毎回、料理が出てくるのでお腹がすく。
ニワトコさんはイギリス人でも見た目が日本人。父親が日本人なので、イギリスで日本料理を作るために奮闘した父親のレシピを知っている。
母親の過干渉に苦しむゆきのは、『言いたいことが上手く言えない』
そんな中で、ニワトコさんやキワコさんと交流しつつ自分の言葉を見つけていく。
中盤位に出てくる魔女仲間のリリさんは日本人なのに、見た目が海外の人に見られてしまい職務質問を受けてしまう。
いろんな問題を含ませつつも重い話にはなっていない。みんな、いい人だから。
メインである『ゆきのと母親』の関係は独特なので外側から見ると『甘えているだけのゆきのと、子どものために必死な母親』に見えるだろうなとは思う。
これ、親が子どもの心を折っている状態なので虐待なんだけど、『優しい虐待』は気が付かれづらい。親自体もそれが虐待になっていると気が付いていない。
親子関係であっても『容姿の侮辱』はダメだし、『お金の管理をさせない』『料理(自立)を阻む』のも問題。『言語の略奪』も。流行りの言葉が下品に思えるのは分かるけど、そこは『私はあまり好きではない』と親が子どもに伝えるまではいいけど、「使用禁止」はやり過ぎ。
低成績者のための塾……の話だったかな。そこの講師が「料理はした方がいい。勉強に役立つから。野菜などを切る事で分数が体感的に理解できる」という話をしていたのを聞いて、なるほどと思った。他にもあったけど、忘れてしまった……。とにかく料理は机上の空論を体験として落とし込む作業らしい。
だから、ニワトコさんがゆきのに言う『料理ができるようになった方がいい』というのは理にかなっていると思う。
家族だから、難しいのも分かるし、最後まで「これで解決」にはなっていないのも現実的。パパが緩衝材になってくれるようになるというのが救いなくらいかなと思う。父親がまともな人で良かったとは思うし、母親も父親が一番好きと思っている人で良かった。
中高生くらいにもお勧めできる作品。