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「めんどくさがりなきみのための文章教室」を読んで

2024/05/16

めんどくさがりなきみのための文章教室 単行本 – 2020/3/5 はやみねかおる (著)
めんどくさがりなきみのための文章教室

「めんどくさがりなきみのための文章教室 著:はやみねかおる」を読んでみた。

猫が文章指南してくれる本。読み物としても面白い。
後半は「小説指南」になっていて、難易度が上がっている。目次を見たつもりだったけど、小説指南になってるの気が付かなかった。……下手な小説教室本より、役立つ。
横書きなので、苦手な人は注意かもしれない。私も、若干読みづらいと思ってしまった。本は縦書きの方が好き。
それでも、内容は良かった。

小説を書く人にお勧めしたい本。


第1章 「何を書いていいかわからない」を一瞬で解決する方法
『書くことが苦手』な子供に向けて、書くことの基本を説明している。
文章には『出来事』と『気持ち』を書くものがある。というのは、「文章がうまくなる」でも書かれていた。
この本はさらに『読書感想文などは気持ち』『観察日記などは出来事』を書くもの。と小学生でもわかりいやすく説明してある。

その中でも気に入ったのは、『読書感想文はおもしろくなかった』と書いてもいい。それで、怒る方が間違ってる……と書いてある事。そういう大人(猫だけど)好き。

さらに『めんどくさいと思うことは才能!』とも書いてある。……そういうの好き。好きだけど、私は書くことをメンドクサイと思わないから、無駄が続くんだなと反省する。

その後も図書館に行って本を読んで、日記を書いてなど、基本が書かれてる。テンプレートをネットで探そうという事まで。猫と主人公のやり取りも面白くて好き。ネタが、凝ってるなと思う。

第2章 「うまい文章」をスラスラ書く方法
文章を書くポイントが10個、書かれている。どれも『文章』に必要なことをわかりやすく説明している。

『たくさん書いて、良いところだけ残す』というの。今、すごく実感してる。10万字の小説を書き終えて思ったことが、「全部書き直そう」だったから。10万字書いて、完成として出すのは一万字でもおかしくない。

「文章の個性」は「基本を守る」とにじみ出る……も、そうなのだろうな。……でも私、基本も知らずに小説書いていて、最初の作品は『ルール無視』な部分もあったけどそれでもそれがいいと思っちゃったんだよね。だから、直してない。
基本は守った方が良いけど、『基本も知らない』から『突飛なことができる』というのもある気がする。個人的には素人のルール無視はそれはそれで好き。
だけど、『文章教室』で、そんなのを書くわけにもいかないのもわかる。公募ではそういうの通用しないだろう。ルール無視はいばらの道で、わざわざそのルートを進む意味はない。


語彙力を増やそうは……わかる。でも、言葉の獲得はそう簡単ではないので、『最低百回はその言葉を見て、千回は文章で使われているのを眺めて、その意味を【文脈ごと理解する】』ぐらいで理解しないと私は自分の作品で使えないなと思う。
だから、世間では使われている『推し』が私は使えない。まだ、獲得してないから。新聞に『推し』なんて言葉が気軽に出てこないので、目にする機会がそれほど多くない。
『沼』とかもだけど……オタク用語みたいな、『その場所で特定の意味で使われている』ようなものは獲得が難しい。他の場所であまり目にしないから。

でも、下手に『よくわからない言葉を獲得』するよりは、新聞や図書館にある本にある言葉を獲得しておいた方がいいんだろうなとは思う。すぐに消えるような流行語がそこには少ないから。

第3章 誰でも必ず小説が一冊書ける方法

この章のタイトルを見逃していた。
ここから本格的に『小説を書くための指南』になる。ここまでは作文が書けないという悩みが中心だったけど、ここからは小説なので『書きたくないなら、書かなくていい』と、気持ちいいほど言い切っている。小説は書きたい人が書くもの。

そうなのか……そうか。と思ってしまった。私、書きたい人だから、そういうのも忘れてしまう。

他にも、未完にしないというのもある。どうしても最後まで書けなくなったら『いろいろあって、みんな幸せにくらしました』という魔法の言葉を付けると良いらしい。
私からももう一つ、『はっと目が覚めると、部屋にいました』という夢オチもお勧め。

未完にしないための魔法の言葉……他にもありそう。

そして最後は『公募に出してもいい』というお勧めが書いてある。
私、小学生の頃『こうぼ』なんて言葉、知らなかった。今の子は、ホント情報量すごいよね。
公募に出す時も、賞の事を調べようとまで書いてある。フォローすごいな。

『書き終えたら、いろんな人に見せて、意見を貰おう。甘い意見より、厳しい意見の方が今後の為になる。今後の役に立ちそうな意見を取捨選択しよう』
これ、よいなと思う。でも、「取捨選択」には、『何を目的にしてるか』が明確でないといけない気がする。私、これが曖昧で人の意見を貰うのが怖かったり、嫌だったりしたけど、最近、『私の目的はこれかもしれない』というものがぼんやり見え始めた。

この本は小学生向けだから分かりやすく『賞』や『小説家』になる話になってるけど、小説を書く目的は人それぞれで良いんだよと私は思う。私が大人になってしまってるからだろうけど。私が子供だったら、『賞』や『小説家』を目指してた。でも、問題はその先。小説家になって『何をしたい』という部分かもなと思う。



読み応えがあり過ぎる本だった。
去年読んだ『小説の書き方系』の本より基本的で実用的でわかりやすい。
次はこの作家さんの小説を読みたくなってしまった。この本がこれだけ面白いのだから、小説はもっと面白いだろうな。ワクワク。

素敵な本。ごちそうさまでした。



『めんどくさがりなきみのための文章教室』