親より稼ぐネオニート: 「脱・雇用」時代の若者たち – 2007/2/1 今 一生 (著)
「親より稼ぐネオニート 著:今一生」を読んでみた。
2007年の本なので、情報は古い。そして、実は私が読みたかったのはこの本ではなくて、『今一生』という人が書いた他の本だった。でも、図書館にあった本でこの人が書いたものはこれだけ。という事で、この本を読むことにした。
情報の古さはさておき、この人がどんな考えなのかを知りたかった。
なぜなら、ツイッター(現X)でいきなり私のツイートに「虐待防止に興味があるならこの記事を読んでほしい」と書いてきたから。コピペの宣伝文で、私の文章との絡みは『児童虐待防止』の部分だけ。正直この人、少し前に「よろしくない人」として情報を得ていたような気がした。調べたら、おっぱい募金賛成の人というのが出てきて、ああ。あの時の……と繋がった。
というわけで、私の中の『今一生』という人の印象はよろしくない。
この本を読んでもやっぱり変わらなかった。記事を読んだ私は『子供が親を決める』なんていう虐待に賛成しないぞ。ふざけんなとしか、思えなかったのでブロックした。……でもツイッターのブロックはこちらが見えなくて、ブロック相手にこちらは見えるという謎仕様なので意味ないんだけど。
恨み言はこれくらいにして、本の話をする。
第一章 「ネオニート」の誕生 ~「就職氷河期」世代のサバイバー~
ネオニートの説明と就職氷河期の話。親世代と価値観が合わなくなってるという話だけど、それは江戸が終わった時点で、『親世代とは時代が違う』という価値観が常に繰り返されてきたのだと思う。敗戦なんても価値観が百八十度ひっくり返されたようなものだろうし。
時代の流れがケタ違いなので、現代では一昔(十年)前は違うではなくて、三年で時代がころころ変わっていっていると思う。親世代どころか兄弟間でさえ価値観が合わなくなる時代な気がするな。
そして、「就職氷河期」の話は大卒基準ということに最近気が付いた。大卒で職がないんだから、高卒だって悲惨だけど話に出てくるのは大卒だけなのよね。
就職も出来ず、自殺者も増えたという話だけどこれ……もっと怖いのは少子化がすでに進んでいた社会で「社会に出る大人」は減り続けてたというのに、就職する場所もなく自殺者も増えてたって事なんだよね。
その中でインターネットを駆使して稼ぐ人が出てきたというのがこの章の話。
第二章 ルポ「雇われる」を捨てたら、親より稼げた! ~ネット・ビジネス編
第三章 ルポ「雇われる」を捨てたら、親より稼げた! ~ゲストハウス編
情報が古すぎて、今では役に立たない章。これ、今だとなんだろうな。多様化が進み過ぎていて、全く分からない。せどりなら、まだ使える? 後は、ユーチューバーなどの放送にネット上での創作物の物品販売やデータ販売。電子書籍などの稼ぎ方も出てきている。
ただ、初期投資がほとんどいらないとなってるけど『パソコン』もしくは『スマホ(携帯)』という馬鹿でかい投資が必須になる時点でゼロ円で出来るというのは嘘だと思う。持たざる者の視点がない。
でもこれは、もう現代では「持っている前提」での社会だから、投資ゼロになるのか。通信費その他もそこそこ低く抑えられるようになってる。でもだからこそ、通信費優先で食費を削るなんていう本末転倒も起きるんだよな。
146pに『妊娠を機に勤務先の不動産会社から退社勧告を受けた2002年に~』と書いてあった。2000年代まだ『妊娠で女を解雇する会社』が当たり前だったんだなぁと。
私もこの時代、求職活動したけど、「男はいるか」「妊娠予定は」って散々聞かれて、吐きそうになったもんな。今、ないよね? もう若くないから、聞かれないからわかんないけど……今これ聞いたら、アウトなハズ。
第四章 ネオニートの労働観 ~『エヴァ世代』は自分を愛せる仕事を求める~
エヴァ世代??何それ?知らんけど……と思いながら読んだ。いや。エヴァをほぼ知らないまま育ってしまった。その世代でも知らない人、たくさんいると思う。
そして、別に「自分を愛せる仕事」なんてのは求めてない。適材適所を求めてるだけ。この世代の価値観は~と語ってるけど、それって「著者から見てこう見える」ってだけだろうなと思う。
仕事は「適材適所」でいいと思う。『過剰労働』『賃金(残業代)未払い』『パワハラセクハラ』etcという問題大ありな職場ばかりで、どこも選びたくないという話は同意する。なぜ、政府はそれをもっと早く規制しなかったのだろう。そしていまだに『低賃金労働』になっている謎。
188pに『戸塚ヨットスクールや入寮前提の空手道場やボクシング・ジムなどのように、絶対に逃げ出せない場所でカラダを徹底的に鍛え上げ、体力と強い心を持たせてきた既存の施設を見習った方がいい。』と書いてあってびっくりした。
戸塚ヨットスクールは引きこもりを無理やり引き出して、殺した事件を起こした場所だったはず……だけど、年代を覚えてなくてもしかして事件はこの後だった?と調べ直してしまった。80年代だった。なんでお勧めしてるの? ついでに調べなおしたら2006年にも事件があった。その後もちょこちょこ事件が……何で本にこんな風に書けるの?事件のあった場所を『見習った方がいい』って書くの危険すぎるんだけど。
とにかく『体育会系』というのはこの文章からも分かるし、ひきこもりは「軟弱だからだ」と思ってるのも分かる。だったら、書くな。スルーしろ。ニートだけ対象に書けと思ってしまう。
第五章 座談会 三浦展×門倉貴史×今一生
強者男性三人の対談……?
『資本主義社会は自己責任社会です。学校でも「自分の生活は自分で考えて実現しないと、あなたの生活の保障は誰も責任をとってくれないのよ」と教え込む必要がある。』233p
えっとね。だから、国があるのよ。国が国民の生活を最低限保障するから、国民は安心して働いて余暇を楽しみ、消費が回る。『国や社会はあなたを守れない』という事を何度も繰り返してるけど、その場合のアドバイスは『国民を大切にする国に今すぐ移住しろ』か『選挙に行って、その政治家を引きずりおろせ』の二択しかないのよ。それを呑気に「だから自分で自分の生活をどうにかして、国に搾取され続けましょう」って言ってるのえぐ過ぎる。
さすが『子供に親を選ばせよう』なんていう虐待を訴える人の本だなと思ってしまった。
子どもは親を選ばなくていい。『親を子供をしっかりと育てる親にする』か『親の資質がない場合は、社会が責任をもって子供が健全に育つ環境を用意する』の二択が社会の役割なの。子供に責任を押し付けるのは『社会から子供への虐待』でしかない。
子供を子供として健全に育てる責任が社会(すべての大人)にはある。
虐待は『人権侵害』だという話から勉強し直してきてって思ってしまうし、こんな人が『児童虐待防止』を訴えてるの蹴り飛ばしたくなるほど怒りを感じる。
もう、読まない。ブロックは外さない。