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某文学賞の感想。

2024/01/13

去年は読まなかったので、感想も書かなかった。
今年は書くぞ……と思ったのに、一作、読む前に消えてしまった。

というわけで、2作分だけ感想を書く。

『沃野』

あらすじ:農機整備士として働く塔子の教育担当になった葛西。塔子は初心者で経験がなかったが、コツコツと一つづつ経験を積み重ねていく。

塔子の過去が見え隠れしつつ、農機整備の仕事の話も進んでいく。……ヤンマー?と思ったのは私だけではないと思いたい。さすがに機械のあれこれは分からないし、正直、つまらない。
でも、塔子が知識を蓄えていき、葛西がダメだと思ったものを塔子に英語の知識があって進ませることが出来たシーンで、葛西が黙ってしまうの……分かる気もする。でも、葛西自身もそれについては分かっているのがいい。

塔子が女性であるからこそ微妙な距離が出来ているのと、心の内にある微妙な『男らしさ』のようなものと……。
いいなと思う。嫌らしくは書かれてないし、塔子は女性だけど『塔子』なのがいい。女性らしくないところも、好き。

タイトル……読めなかった『よくや』と読むのか。忘れそう。

『渦の底から』

遊園地でバイトをしながら、ホームレスと将棋をする萌絵。仕事も不安定で、母の認知症も進んでいく不安を抱えている。仕事のない不安。将来が見通せない不安から買い物依存症のような症状になる萌絵。

ピンクの制服に三十歳を目前にした身体は戸惑うらしい。それ、個人の感覚にしておいてほしい。六十なろうが八十になろうが、好きに服ぐらい選ばせろ。と思ってしまった。でもこれは、『年齢による不安』を制服に押し付けてるだけなので、うだうだ思う必要もないのかもしれないけど。

ただ、最後まで『若い子の方が優秀』とか『似合ってる』みたいなのがチラホラ出てきて、ウンザリする。
年齢の不安を出すなら、身体の不安を出したほうがいい。個人差はあるにしても、老化は止められない。社会的対応が変わってくるというのは、その社会が狂ってるだけ。いや。老化した遊園地と主人公の年齢をかけて、これなのだろうか?
うーん。深く読むの嫌い。

将棋はよくわからないけど、ラストの40の駒を投げてみて半分が成っていたら上々というのは面白いなと思った。駒をなくす可能性があるので場所は選ぶのだろうけど。

不安が渦巻いている感じがぞわぞわしていい。


入賞作を読み損ねた。選奨作しか読めてない。
来年は三作読めると良いな。


2019年某文学賞
2020年某文学賞
2021年某文学賞
2023年某文学賞
2024年某文学賞