運動脳 単行本 – 2022/8/19 アンデシュ・ハンセン (著), 御舩由美子 (翻訳)
「運動脳 著:アンデシュ・ハンセン 訳:御舩由美子」を読んでみた。
スマホ脳、ストレス脳と同じ著者三冊目。これストレス脳だけでよかったかもと思ってしまった。内容はほぼ変わらない。『脳の機能』について詳しく書かれているくらいが違うだけ。個人的には『人間の進化』の話が面白かったので、『ストレス脳』の本が一番楽しかった。脳機能の話は難しい。「リハビリの夜」の記憶を呼び起こして、何とか読んだ。リハビリの夜は脳機能の話を分かりやすく図解入りで説明してたのでよかった。
この本にも少しは図解があるけれど、わかりやすいとは思えない。
第1章 現代人はほとんど原始人
脳は原始の時代から変わってないという話。だから動くこと……つまり、運動で脳の働きは良くなる。なぜなら脳は『動くために存在している』から。
第2章 脳から「ストレス」を取り払う
運動でストレスが軽減する話。
『今スウェーデンでは、病気休暇のもっとも多い理由がストレスだ。』62p
ストレスで休めるの??と思ったけど、これはうつ病などの病気のことなのかなと思い直した。病気休暇に『ストレス』の理由があることに驚いてしまったけど、『心理的苦痛で休む(ペットが死んだ、失恋した)』が通用するのか知りたいと思ってしまった。……もう少し詳しく欲しい。
他にも長期間ストレスにさらされると海馬が委縮するという話も書いてある。この辺りは虐待の本なんかにも出てくるなと思いながら読んだ。
第3章 「集中力」を取り戻せ!
第4章 うつ・モチベーションの科学
運動で集中力も高まるし、モチベーションも保てるようになるよという話。もちろん、鬱の改善にもなるけれど、運動する気力もないときは無理をせず目標を小さくして取り組む事が大切。
第5章 「記憶力」を極限まで高める
第6章 頭のなかから「アイデア」を取り出す
第7章 「学力」を伸ばす
大人も子供も運動で脳が若返ったり、能力が高まるという話。
『俗説では「太った子どもは頭がよく、わんぱくな子どもは頭が悪い」といわれるが、それが根拠のない偏見に過ぎないことが証明されたわけである。』285p
そんな俗説がスウェーデンにはあるの?と思った。個人的には太った子供の方が頭が悪そうなイメージが……すみません。でも、これも偏見で、結果はどちらもさほど変わりがないという事が書かれている。問題は運動をしてるかどうかという点だけでしかないと。
太ってるように見えても、筋肉質というのもあるし、一概には言えないんだろうな。
立ち机での勉強も効果ありとも書いてある。立って仕事をするオフィスも以前、テレビで見たような気がする。立ってるだけでカロリー消費をするから、座ってるよりも運動になる。
そういえば、今年の夏は暑過ぎて外出れないし、運動したいけど外は死ぬ……と思って、立って読書するようにしてた。意外と頭にするする入ってく感覚が楽しかったけど、体力がなくてすぐ座り込んでしまってたのよね。もう少し定期的に運動して立って読書できるようになりたい。
7章の最後のコラムは『こどもなら「外国語」をマスターできる!』というものだったけど。これは危険だなぁと思う。発音の聞き取りの刈込は生後六か月くらいから始まる……みたいなのをどこかで聞いたので、『話し始める時期』にはもう聞き取れる音が限られてる。
つまり、このコラムを真に受けて、子供のうちに外国語をしても無理だと思う。さらには言語は『使わなければ消える』ので、両親がそれぞれ別の言語を使っているとか、両親の使う言語と他の人の使う言語が違うなど使う場所がないと覚えることができない。時々、絵本を見せたり、テレビを見せる程度だと単語習得ぐらいまでっていうのもどこかで見かけた。
二か国語やそれ以上を覚えさせるよりも母国語として第一言語をしっかり教えて、そこで自己表現ができるようになってから他の言語習得した方がいいという話も見かける。『伝える言葉』の習得が最優先らしい。あと、多少の発音の違和感はどの言語でも方言などがあるし、そこまで気にする事でもないらしいし。このコラム、中途半端にいい加減なこと書かないでと思ってしまう。
第8章 健康脳
第9章 最も動く祖先が生き残った
認知症にも運動が効果あり。年を取って(75歳以上)から運動を始めても脳が若返っていくという事も書いてある。すごい。でも、その身体を作れるだけの最低限の体力が75歳までに残ってないと意味がない。
そして、9章でまた先祖の話に戻っていた。他の人類を押しのけて『ホモ・サピエンス』が生き残った理由の考察で「とある遺伝子が異常をきたして、それが脳を発達させた」という話が面白いなと思った。『異常』が以外にも人類を発展させる働きをしたというのが……。でも科学の世界は新しいものがみつかったり、実はちがってたという話が後から出てくることもあるから、これがどこまで『正しい』のかはわからないけど。そして、それだけが理由でもないとちゃんと書かれてる。
第10章 運動脳マニュアル
どの運動が効果的かという話がたびたび出てくるけど、現在は有酸素運動の方がいいよという結果が多いという話。
この本、散歩やランニングを勧めてるけど、個人的には「アスファルトの上」を20分歩くよりも「舗装されていない場所」を10分歩く方がいいような気がする。
運動は脳を動かし活発化させるなら、足元が常に安定している「アスファルト」より、それ以外の場所の方が不安定で頭を動かさないといけなくなる。
例えば、砂浜・河原・田んぼ・山道など。足元がぐらぐらする場所は体幹も鍛えられるし、脳みそフル活動すると思うので、そんな場所が近くにあるならそっちをお勧め……ただし、無理しない範囲で。
運動の本なんだから、そういうところまで書いてくれたらいいのにな。なんていうか「ジムで出来る運動」しか想定されてないっぽくて都会だなぁと思いながら読んでしまった。
もう、お腹一杯なので読まないぞ。ごちそうさま。