スマホ脳 (新潮新書) – 2020/11/18 アンデシュ・ハンセン (著), 久山 葉子 (翻訳)
「スマホ脳 著:アンデシュ・ハンセン 訳:久山葉子」を読んでみた。
スマホを使うように脳は進化していない。スマホはあなたの脳をハッキングする。という事が書かれていた。読んでいてなかなか面白かった。
もっと脳の機能について書かれていて難しいのかなと思ったけど、簡単にわかりやすく書いてあって読みやすい。
章ごとに感想を。
第1章 人類はスマホなしで歴史を作ってきた
最初の引き込み方がすごいと思ってしまった。点だらけのページが見開きになっている。次のページを開くと、点が一万個ある説明から始まる。文字で読ませるのではなくて、視覚で引き込むのすごい。
一万個の点は一世代を表す。
スマホがあって当たり前の世界は一世代。まだ、次の世代はいないという事から話が始まる。そして、そういう話が本を通じて何度も出てくる。何世代前まではこうだったという話が繰り返されている。つまり「現代社会」と思ってる社会は人類の歴史から見ると「対応しきれない環境」なのは当たり前と。
進化の話が出てくるの楽しい。
第2章 ストレス、恐怖、うつには役目がある
ストレスは「闘争か逃走」をするために身体の状態を準備するシステムという事が書かれている。こちらも進化の話も絡めつつ、脳の機能の話も出てくる。危険を感じたり、予測したときにストレスはかかるが、長期のストレスにさらされるようには出来ていなかったという話。
第3章 スマホは私たちの最新のドラッグである
ドーパミンは何に集中するかを選択させる。スマホはその仕掛けに溢れている。
わかると思いながら読んでしまった。無為にtwitter眺めてしまうのはそのせいなのか。しっかりと仕掛けに引っかかってる。そして、開発者たちはそれを自覚しているというところまで書かれていた。
金の力は最強だ。金が欲しいがためにドラックを売るのは別に今に始まったことではないし、その策略に引っかかった中国は今でも薬物は死刑という厳しい罰則がある。スマホで死刑はないにしても、ある程度の規制がそのうち出来るのではないかな……。せめて、エロ広告の規制が欲しい。
第4章 集中力こそ現代社会の貴重品
人間はマルチタスクが出来ない。一度に一つの事に集中することしかできない。という事が書かれている。
『基本的に女性の方が男性よりもマルチタスクに長けているそうだ』89p
これはどこまでそうなのだろう。環境がそうしてるのか、脳的にそうなのかがわからない……というのも見たような気がする。
スマホやパソコンがどれだけ集中力を阻害するかという話が色々ある。集中力の後は記憶力。辞書があるなら、辞書に載っている言葉を覚えないのと同じで、デジカメで写真を撮ったものは覚えないとあった。わかるけど、私は大体覚えてるな。だって、後からブログに載せるつもりで撮ってるから。そして、ブログに載せることを忘れる。あ。これも記憶されてないせい?
周囲への無関心も起こるとある。全部、頷くしかないけど、スマホではなくてタブレットやパソコンについてだし、外出する時はデジカメぐらいかな。スマホ、家の中でしか使えない無契約のしか持ってない。
第5章 スクリーンがメンタルヘルスや睡眠に与える影響
スクリーンって何だっけ?と思ってしまった。『画面』ね。ここは訳してくれないのね。
スクリーンが眠りを阻害するという話だけど……私のベッドは本で溢れているので、私の眠りを阻害しているのは間違いなく『本』
言いたいことはわかるけど、私には当てはまりそうもないかな。
第6章 SNS――現代最強の「インフルエンサー」
SNSは人を孤独にして、不幸を感じさせるという事について書かれている。
私、自分の発信のためにしか使ってないのでSNSで孤独はあまりないかな。いや。交流しようと頑張った時はそれに比例して孤独だなと思った。誰かと交流したいという目的で使うのは間違っていると早々に気が付いて、やめてしまった。元のように自分の発信だけだと平和。
SNSは共感力を殺すというのは興味深いけど、そうだなと思う。文字だけでは『わからない』から。共感は相手の表情・口調・様子などいろんなものを総合して理解してから、自分の中に落とし込んで写していくのかなと。文字だけだと、難しいというか無理。それでも、『目の前の相手に常に共感できるか』と言われると、そうでもないので共感って元々、そんなに簡単にできる事でもないんだよな。
「自分たちVSあいつら」の血塗られた歴史……161p
これ、どこかで見たようなと思ったら、「読み書き能力の効能」の「奴らとおれたち」と似たような話だった。「読み書き能力~」はただ相手を馬鹿にするというだけの可愛い話だったけど、こちらの本ではそうやって区切って殺し合ったという過激な話。人は過激な話題に惹かれる。だからSNSから離れようで、終わっていた。それができたら苦労しない。
第7章 バカになっていく子供たち
過激なタイトルだなと思ってたら、中身はそのまま子どもたちにとっては有害という話だった。子どもの脳は大人のようには動かないので依存になりやすく、集中力も下がり、睡眠不足になり、発達に悪影響を与える。
大人も影響があるが、子どもの方が報酬系がより強く働くので、依存になりやすい。ということだった。
子供、いなくてよかった。こんな世界に生まれるなんて不幸になるために生まれたようなものかなと思う。親の裁量が大きすぎるのもいや。社会環境が子育てに合ってないのに、責任だけ親に押し付けられるとか地獄。
第8章 運動というスマートな対抗策
運動は体にいいよという話。人類はずっと狩りをしていたのだから、運動をしていると集中力が上がる。という歴史と絡めての説明。
第9章 脳はスマホに適応するのか?
適応するにはあと一万年待たないといけないらしい……その前に人類が消えるのでは? 今の消費社会で人類が続く可能性はどれだけあるのだろう。と思ってしまった。
そして、『人間は幸せな生き物ではない』233p
なるほどと思ってしまった。不安が人間を生き延びさせてきたのだから、不安を感じる方が当たり前という事らしい。
第10章 おわりに
まとめが書いてある。運動と睡眠が大切。
最後に「デジタル時代のアドバイス」が書いてある。
『SNSは積極的に交流したいと思う人だけフォローしよう』とあるけど、積極的に交流したいわけではなくて眺めていたいだけなんだよな。
進化の話と組み合わせてあるのは面白かった。
運動や睡眠の必要性も書かれてたけど……、これ書いてる今の時間。午前四時。
睡眠って何だったかな。私の中に時計はない。みたいな気分で読み終えた。