「超」整理法: 情報検索と発想の新システム (中公新書 1159)
– 1993/11/1 野口 悠紀雄 (著)
「「超」整理法 情報検索と発想の新システム 著:野口幸雄」を読んでみた。
古い。1993年の本。お勧めされたので、読んでみたけど……情報が古い。
応用できるというのもわかるのだけど、それでも現代には合わない点が多いような気がする。出版された時点では画期的だった……というのはわかるけれど、時代はもうずっと先に行ってしまっていて応用しなくても、スマホの写真データなんてまさしく『時間軸』でしか保存してないぞと思ってしまった。いや。私の場合はデジカメだけど。
この本は章ごとに最後にまとめを書いてあるので、読みやすい。
章ごとに見ていく。
序章 あなたの整理法はまちがっている
なるほど……と思いながら、そんなに書類が積まれる仕事も日常も送ってないので大丈夫とおもってしまった。今の時代ペーパーレスも進んでる……とはいえ、まだ紙媒体も残ってるけど。困るほどの紙があふれることはない。この本に何が書いてあるのかがわかる。
第一章 紙と戦う「超」整理法
紙の書類の整理法が書かれている。言いたいことはわかる。効率的なのだろうなという事も。大量の紙でなくてもそれなりの紙や多少の郵便物でも応用できそう。
第二章 パソコンによる「超」整理法
紙の次はパソコン……こちらは紙よりも情報が使えない。だって……スマホだもの。1993年から考えたら携帯電話が小型パソコンとほぼ同じ役割を果たすなんて思わないよね。ブラインドタッチが出来たらいいとある。今の子は、ブラインドタッチが出来ない。だってスマホだから……。今の中堅(40代前後)は自分より上の世代にパソコンを教えて、自分より下の世代にも教えるという状態と聞いて、私もびっくり。
時代って思ってもない方向に超特急で進んでいくんだよね……と思ってしまった。
さらに、ファックスやEメールで連絡を取った方がいいとあるけど、これはメールどころかチャット(短文会話)になってしまっているので、仕事によっては要らないすれ違いが多数勃発みたいなことになってそう。
第三章 整理法の一般理論
整理法を4種類に分けて説明してる。なるほどとは思うけど、ピンとこない。1993年の空気をビシビシ感じるような気がする。
『しかも、現在では、女性の社会的活動の場が拡大したので、秘書のコストはますます高くなっている。』159p
そういう時代だったんだなという一文も混ざっている。これ、今の時代に言うと女性差別ね。秘書の仕事(仕事の補佐)は女性がやるものというのはアウトだし、他の仕事も女性がするようになったから、秘書のコストが高くなったって酷い言い草だなと思う。
第四章 アイディア製造システム
アイディアの出し方について書いてあるけど、初っ端から知的な人たちの集まりの中に入ったらいいという難易度が高いものを持ち出している。それが無理な人には~というふうに話が続くが、アイディアを思いついたら書き出してパソコンでまとめるというありきたりなものだった。
そして音声録音が一番いいといいながら、恥ずかしいのでどこでもできるわけではないとも書いてある。……現代の人ならどこでもやりそうだなと思う。私はしない。声を出すのが恥ずかしいから。
終章 高度知識社会に向けて
個人の情報処理能力は高まり、ハイテク産業などが盛んになるはずだ……となってるけど、現実はそうなってない。
知識に対する投資が必要とも書かれてるけど、国は教育にお金を極力使わない方向になってるし、少子化が進む予定で学校もその他施設も計画が立てられている。
さらに子供たちは競争にさらされ、多数の情報に踊らされて……一種の地獄かなという風景が広がっている。
ランドセルは軽くなり、軽くなった分、教科書その他必要教材が増えて総量が重くなっているのが今の子どもたちの現状。これって、大人も同じで『個人に求められる能力』だけが高くなっているけど、教育も環境もガリガリ削られている。仕事だってインターネットなど様々な機器を使って時間短縮になった分、『個人で背負いきれない仕事を割り振られる』でも『手取りは固定(時給が上がった分、税金で引かれる)』みたいなことになっている。
この本には『文教および科学振興費』の対GDP比率が下がっていることも書かれてた。今もさほど変わらいっぽい。ざっと調べた。
1993年はまだ未来に希望があった時代なのだろうなと思う。
もっといい時代が来るはずだという期待感を感じた。
情報は古いけど、今でも使える部分はある本。ただ、読んだらいいよとはお勧めできない。大半が今はほぼ使えないかスマホによって『電子機器での管理』に変わってしまっている。
ペーパーレスはまだまだ進んでないけど、個人ではスマホアプリでほぼ管理可能なのでわざわざこの本を読むメリットは少ない。
「続「超」整理法・時間編」も読んでみた。