– 2015/5/11 さかたのり子 穂実あゆこ (著)
児童福祉司 一貫田逸子 生贄の子
– 2015/6/11 さかたのり子 穂実あゆこ (著)
児童福祉司 一貫田逸子 逃げる子ども
– 2015/7/13 さかたのり子 穂実あゆこ (著)
「児童福祉士 一貫田逸子」を読んで。
かなり前に読んだのですが、古本屋で見つけて手に取ると読んだことのない話があった。
私が読んだのは前半だけで、後半部分が存在するという事を始めて知った。
というわけで、買った。
かくされた子供
1話「小夜ちゃんのパン」
最初のお話し……サラッとしすぎて記憶に残っていなかった。
たぶん、虐待された子供たちの本と思って読むと、あっさりとして肩透かしを食らう。というか、食らった。児童相談所に相談に来た母親の話。
「虐待をしてしまうから、子供を預かって欲しい」という相談。
そこでやっと、これは虐待された子供たちの物語ではなくて、『児童相談所の物語』だと理解できた。
私だけかもしれないケド、思い込みって怖い。
主人公が子供の頃にお友達(サヨちゃん)を助けられなかった思い出と、母親の相談の話が絡み合って進んでいく。
虐待しそうなサインを主人公が見つける。
2話「かくされた子ども」
虐待されている子供の話。タイトル通り『存在が隠されている子供』
昔なら「蔵の中の子供」みたいな感じになったりするのかなと思うケド、現代なので「押し入れの中の子供」
主人公の性格が結構、過激一途だというのを示す話。
で、現実からはかなり遠ざかった『非現実』をアピールしてくる。
実際にやったらクビだし、そこまで出来ないから虐待の対応は難しいんだろうし……。
漫画だと思えば楽しく読めるけれども、題材が題材なだけになんだか複雑。
3話「約束」
家庭訪問のお話。児童相談所がどんなことをしているのか分かるというお仕事話の回っぽい?
虐待を繰り返さないようにする家庭訪問で、親の敵と味方役がいて役割分担している。
とか、色々説明が多い。
4話「身代わりにされた子ども」
代理ミュンヒハウゼン症候群のお話。これもまた、やりすぎの回。
でもこの話だと、介入できそうにないからこんな話になるのかな?
実際にはどうやって介入するんだろうか……と疑問が残る。
ミュンヒハウゼン症候群とは『わざと病気になり病院で治療を受けたがる精神疾患の名称』代理ミュンヒハウゼン症候群『子供を自分の代理として病気にさせる(通常は母親だけにみられる)』
舞台は病院なので、主人公がお腹を壊して潜入する……というとんでもない話。
生贄の子
5話「沈黙の子」
性的虐待のお話。なかなかゲスな人物の登場で面白かった。
加害者がゲスなのは当然だけれども、職員の側にもゲスなキャラがいるのは漫画だからなのか……いや。実際にもいそうで怖い。
6話「生贄の子」
家族の中で、感情のゴミ箱にされた子供のお話。
で、なんかカタカナでも言葉があったなぁと調べたら、アダルトチルドレンでスケープゴートという言葉があった。
そんな感じの話。ただ、生贄になる子供という視点で読むと2話の「隠された子供」とか8話の「選ばれた子供」も、そんな感じだなと思ったりする。
2・8話と違うのは6話は一見すると『普通の家族』に見えるところ。
普通の家族が虐待をする話。
7話「悪魔の子ども」
虐待は親だけの問題ではないよという話。
育てにくい子供を育てる親は虐待を行う可能性が高くなる。
理屈はわかるけど、それで叩かれる子供はたまったものじゃないよねとも思う。
だから、『社会の適切な支援が必要』という話なのだろうけれども……なんとなくモヤッとしたお話し。
8話「選ばれた子ども」
子供は親のものか?という話。
7話に続いてモヤッとした。結論が「子供は親のモノではない」で終わっていた。
イマイチな感じ。子供は社会のモノって言えないのかな。もしくは、『神様からの預かりもの』みたいな。
昔は親が子供を叩くのは当たり前だった……という話が出てくるけど、だから、今そうしてもいいわけではない。
妹が虐待されているのを見た上の子達は、自分が次は虐待されると怯えて、妹へも暴力を振るった。
けど、最後にそれを悔いて「妹は僕の事を嫌いかな」と問う。
そこに主人公が「あなたたちは悪くない。悪いのはお母さんなの」と言ってしまうのも……どうかなと思う。
嫌いかどうかを決めるのも悪いかどうかを決めるのも、主人公じゃなくてそれをされた妹のハズと思いながら読んでしまった。
ううーん。モヤッと回。
逃げる子ども
9話「戻って来た子ども」
施設から戻って来た子供を虐待する話。
子供と親の価値観は一緒に居る間は一致するけど、施設で新しいモノを知ってしまった子供が親の目からは怪物に見える瞬間があるんだなぁと思った。
読んでいて思ったけど……私もケチャップのオムライスって馴染みが無い。家で食べた事が無かったから。
給食にもそんなものは出ないし、「ケチャップのオムライスって何よ!!」と子供時代の私も思っただろうなぁと思った。
普通の家庭料理の基準って難しい。
10話「逃げる子ども」
虐待された子供たちのその後……の話。
大人になって母親を殺した女性の裁判で、裁判官の冷たさに主人公が必死になって『虐待』の辛さを伝えようとする話。
「子供にとって親を責めるということは 親を殺すより 自分が死ぬより 何よりつらいことなんです」
というセリフが印象的だった。
11話「呼ぶ子ども」
施設での虐待のお話。
虐待された子供たちは『虐待を受けやすい子供』になる。狂暴になったり、甘えすぎたり、怯えすぎたり。という話だった。
けど、これ、児童相談所で請け負う案件?現実はスルーされて終わりになるのかな……どこまでが漫画なのかよく判らない。
勝手に施設内に入るのは犯罪だと思うケド、マンガと思えば、流せる。
12話「ドアを開けて」
小夜ちゃんの母親の話。物語のまとめな感じ。
ドアを開けて外に出たら『助けてくれる人がいる』と子供に伝えたい……みたいな感じなのかな。
特にこれと言った感じもなく、物語を仕舞うためのお話しかなと思った。
6話までは微かに記憶に残ってた。
7話からは全然読んだ事が無いので、新鮮だった。
一部モヤッとするけど、全体的にはすっきりとした感じで満足。
子供が虐待されてる絵は痛々しいので、それが苦手な人は読まない方がいいカモ。
『児童福祉司 一貫田逸子 かくされた子ども』
『児童福祉司 一貫田逸子 生贄の子』
『児童福祉司 一貫田逸子 逃げる子ども』
凍り付いた瞳シリーズ他 虐待防止系の本
「凍りついた瞳2020」を読んで
「凍りついた瞳」を読んで
「続・凍りついた瞳」を読んで
「新・凍りついた瞳」を読んで
「児童福祉士 一貫田逸子」を読んで
「家族の中の迷子たち」を読んで