– 1996/12/18 ささや ななえ (イラスト), 椎名 篤子 (原著)
「凍りついた瞳」を読んでみた。マンガ。
第一話 誰も助けられなかった
助けを求めた母子とそこに介入した保健婦(今は保健師という名称になっている)の話。
虐待を知りながら、上手く介入は出来ないという事例。
助けを求めてきた母親が、『父親が暴力を振るうのはお金が無いせい』と理由を反転させる。
保護した子供が、暴力的になり、『病院では預かる事が出来ない』と看護師たちから苦情が来るようになった。
暴力を受ける子供は暴力を学習する子供でもある。
虐待された子供が、暴力的になるのはある意味当然な事……と言う認識は今なら広がっているのかな?
最後は子供を連れて家族が姿を消してしまう……。タイトル通り『助けられない』
第二話 あの子はいらない
養護施設から戻って来た子供を上手く受け止められなかった家族の話。
物心がつく前に預けられて、親との記憶が無い子供が懐かない。
愛着障がい……と、今なら言うんだろうか?と思ってしまった。
こちらも一話に続いて、子供が暴力的になるという話だけれども、こっちは『構ってほしくて暴力を振るう』
ただ、一話と違って家族側が「もう、この子はいらない」と突き放すので、子供はずっと施設で育つ話になっている。
家族との決裂の決定打に何があったのかは描かれてないので、ちょっともやんとする。けど、たぶんそれがリアル。
第三話 逃避行
子どもが虐待されている家族の話。
いや。この本の全部がそーいう話なのだけれども……この話は、このケースでは『何が原因で虐待が起きているか』が判る。
全てのケースがこんな簡単ではないだろうけれども、物事は一方向から見てはいけないという話になっている。
父親が暴力を振るうという母親がわからだけの話を鵜呑みにして、父親から逃げる作戦(逃避行)を立てるが、
結局元に戻ってしまう。その後の母親の話から、暴力の根源は『父親の嫉妬』だと判る。
子どもの世話より、俺の世話をしろというやつである。
色々と思うことはあるケド……。まぁ。この時代なら、そうだなと思う。
第四話 父と娘
性的虐待の話。トラウマ(PTSD)の話……になるんだろうか?
母親は最初は子供の言葉を信じなかったが、現場を目撃して離婚した。
……これ、目撃しなかったらずっと続いてたって事だよね。と思うと、ゾッとするけど、たぶん、そーいう話もあるだろうな。
第五話 祖父と父と私と
こちらも、性的虐待の話。四話と違って、代々続いてきて『それが普通の事』と思っている母親。
最後には、被害者の子供が、親戚の子供に加害行為を行って困る……という話になっている。正しい知識がないために、被害者が加害者になる。
救いがない……。
第六話 浮気の代償
ネグレクトの話。こちらは明るい未来で終わっている。救いある話になっている。
けど、父親の姿が薄いのが気になる。浮気が原因になってるけど、経済DVもある。
第七話・第八話 婚約指輪
不倫の末の子供を殺そうとする話。これも明るい未来の可能性で終わってる。
子どもを結婚のだしに使うのは虐待にはならない……モヤンとする。
第九話・第十話 それぞれにできること
複数の機関の連携で家族を支える話。
揺り戻しを起こしながらも、いろんな人の手を使って一人の子供の為に連携する……って難しい。
プライバシーに踏み込みすぎず、適度な距離で見守るってどの程度がいいんだろう。
そんな感じのまとめのお話だった。
ざっと読み直してみて……母親の話は結構あるケド、父親は影が薄いか、仕事の話で終わりだったりする。
もしくは、浮気だとか嫉妬だとかのサクッとした理由だけを残して出てこない。
最後に子供と笑うのは母親の姿……モヤンとする。
凍り付いた瞳シリーズ他 虐待防止系の本
「凍りついた瞳2020」を読んで
「凍りついた瞳」を読んで
「続・凍りついた瞳」を読んで
「新・凍りついた瞳」を読んで
「児童福祉士 一貫田逸子」を読んで
「家族の中の迷子たち」を読んで