「谷山浩子童話館 作:谷山浩子 絵:宇佐美爽子」を読んでみた。
みんなの歌の「まっくら森の歌」の谷山浩子さんの本……小説があったので図書館で借りてみた。
『まっくら森の歌』好き。
不思議な世界の短編10話。
・水の底
とても不思議な『音楽』のお話。じっくり読まないと意味が入ってこなかった。
『やまなし』のクラムボンみたいだなと思った。
・ガラストマト
南は真っ赤でトマトみたいな土地。北は真っ白な土地を旅する旅人のお話。
これもファンタジックで、少しグロテスク。
・帰らない男
『帰る人は来ないでください』と書かれた部屋にいる少女のお話。
心当たりのある感情で気持が抉られてしまった。寂しすぎると人を撥ねつけてしまう。
・手のひらの魔法
手のひらを行き来する少女と青年のお話。
風を食べているので痩せているという部分が気に入った。兄が心配して、手首を切ってしまうというシーンはグロテスクになるのだろうか。
・祈る人
「何を祈るのか」と問われた祈る人の物語。
宗教的なのかなと持ってたら、哲学的な終わり方だった。祈る人に怒った王様が、祈る人を処刑すると……世界が消えてしまう。ファンタジックなのに、いろんな方面に思考が広がりそうな物語。好き。
・マリンコング
気がつくと、キングコングになっていたまりこのお話。
これは一番意味がわからなかった。なぜ最後にマリンコングは泣いたのだろう。
・花おじさんの家
花おじさんの家に行くと、言った言葉とは違うことが起こるお話。
言葉って何だろうと考えてしまった。花おじさんの言葉が記号になっているのは、聞き取れなかったからなのかと後で理解した。
・ピアノ
お父さんのいない日に一人でピアノをひく目の見えないアヤのお話。
ピアノの世界がとてもファンタジックで素敵だ。
・青い花電車
ある夜、目の前の道をライオンやラクダに乗った王子様、お姫様が通り過ぎていくお話。
ファンタジーな始まりと思ったら、現実へと続き、最後は素敵なオチがついてた。
でも、現代で考えたら、『ゴミ(古くなったおもちゃ……この時代ならセルロイドかな?)は燃やしてはいけない』んだよなということが頭をよぎった。
・FLYING MU
恋人の背中の星を追いかけるお話。
最初のお話みたいな感じ。考えないと意味が掴めない。
全10編の短編、全部がファンタジーと独特の世界ですごいなと思ってしまう。
でも、『あべこべの世界』みたいなものはいくつかの作品に出てきたので、『まっくら森』の世界観の欠片があちこちに散らばってるような感じもしてしまった。
どれも素敵。どれも好き。
でも、一番好きなのはイラスト。物語に合ったイラストがどの作品にも挟まれてる。
独特の世界観の言葉と独特の世界観のイラスト。新装版で『四十七秒の恋物語』もあるけど、イラストは『谷山浩子童話館』の方が好き。どっちも借りてみて良かった。
ごちそうさまでした。
『谷山浩子童話館』
谷山浩子作品感想
「谷山浩子童話館」を読んで
「四十七秒の恋物語」を読んで
「少年・卵」を読んで
「お昼寝宮 お散歩宮」を読んで
