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「61時間だけのユーレイなんて?」を読んで

ふーことユーレイ61時間だけのユーレイなんて (とんでる学園シリーズ 47)
– 1991/12/1 名木田 恵子 (著), かやま ゆみ (イラスト)

61時間だけのユーレイなんて? ふーことユーレイ (とんでる学園シリーズ 47)

「61時間だけのユーレイなんて? 作:名木田恵子 画:かやまゆみ」を読んでみた。

ふーことユーレイシリーズの5冊目。
そういえばこういうキャラもいたなぁと思い出した。だめだ。ほとんど忘れてる。読んでて楽しいのはふーこの視点からだけ描かれていて、ズレないからだろうな。あと、ふーこのキャラ……ほんと、いい性格してる。

物語は、梅原さんが好きになったというデーモンこと桂木大門に会いに行ったことから始まる。なぜか、そこでデーモンに気に入られてしまったふーこは、半ボタンのペンダントを盗られてしまう。返してもらうために、再び会いに行くとデーモンは半ボタンを道路に放り出し、ふーこは慌ててそれを止めようとして車にひかれそうになる。デーモンが助けてくれたものの、デーモン自身は生霊ユーレイになってしまう。ふーこに付きまとうデーモンを守護霊の和夫くんが食い止めてくれるけれど、やがてタイムリミットが来て……。

という物語。
デーモンの生い立ちも中々なものだった。
母親が出て行って、新しい母親が来たけど折り合いが悪い。死んでもいいやと自暴自棄になってるところに、和夫に引っ張られて母親と父親がいる場所につれてこられて、母親が自分をとても心配していたことを知って生きると決める。
……のだけど、この母親と父親の会話シーンが、中々にえぐいのでは?と思う。いろいろとぼかしてあるけど、つまり……母親が病気になってしまって、父親がそれを支えられずに母親が出て行ったのかなと。だったら、新しい母親は何?子供(デーモン)の面倒をみさせるためだけに結婚したって事??と疑問が尽きない。
それとも逆で、新しい母親との浮気がバレて、デーモンの母親は病気になって出て行ったのだろうか?
子どもの頃は『病気の母親が子供を心配している』部分しか気にしなかったけど、大人になるとこのよくわからん関係ってどういうこと??としか思えない。
新しい妻がいるのに、元妻のところに二ヶ月に一度くる関係って……どういうことよ?

謎しかなかった。
物語は面白いのだけど、大門の父親と母親の関係性は読み直してもさっぱりわからん。

ひさしぶりのふーこは面白かった。今読むと、いじめのシーンがエグイ部分もあるけど、ふーこが気にしてなかったり、こまったちゃんが味方なのでそこまででもない。そして、最終的には『大人は子どもの味方』という認識があるのもいい。大人まで子供に意地悪するようなこともないのもいい。
恋愛ものあるあるの『理由のない好き』にはウンザリするけど、そんなの気にしてられないくらい事件と冒険だらけなの好き。
そして、ばっちりを食らい続ける権田くんのキャラも……メインではないけど、そのシーンだけでどんなキャラかがわかって愛らしいのすごいなと思う。
どのキャラクターもしっかりと爪痕を残しつつ、雑多ではないので覚えやすい。物語の中の役どころがちゃんと『ハマって』るんだよな。こういうの漫画っぽいなあと思うけど、わかりやすくて好き。ページのあちこちにある小さな挿絵も読むときの休憩になってていい。
……そう言えば、こういう形の児童書ってあまり見かけないような。一ページ丸まるイラストはよくあるけど。

あれもこれも好きだぁぁぁと改めて思う。もちろん、今読むと時代が古い(土曜に学校がある。看護婦さん??)という部分はあるけど、でも大人が大人をしっかりしていて、子供が子供らしく『自分の経験値の中で模索する』みたいな線引きができてるのがいいんだよな。
要は「考えなし」なわけだけど。だから、ふーこはデーモンの「金持ってこい」の脅しに素直に従っちゃうわけで。でも、この従うのも子供っぽくていいんだよな。(お金はちゃんとふーこに返している)
そして、大人が子供を守ってる。ふーこの家族はふーこを心配するし、ちゃんと理由を聞く。だから、ふーこは困ってあれこれ嘘をつくけど……そういう大人との関りがちゃんと書かれてるのも好き。そして、ふーこも自分ではできない(大門の病室を知ることや、苑美のお墓を調べる事などは親に頼んでる)ことは大人に頼ってる。こういう関りがしっかり書かれてるの好きなんだよな。ふーこと和夫くんのやりとりより、ふーこと家族やこまったちゃんとのやり取りが好き。

最近読んでた児童書のモヤっと部分がふーこで解消できた気がする。子どもの時の私の好きは、今の私の好きと変わらない。大人になると感性が変わる……部分はあるけど、でもふーこのシリーズは変わらず好き。モヤっと部分(恋愛の部分)はあるけど、小さいから気にしない。


図書館にあったのは4冊だけだった。ああ。残りも読みたいけど、手元にあった本は売ってしまったので読めない。
しょうがない。ごちそうさまでした。


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