編集

「ライトノベル作家になる」を読んで

2024/03/10

ライトノベル作家になる 単行本
– 2010/7/16 榎本 秋 (著)

ライトノベル作家になる

「ライトノベル作家になる 著:榎本 秋」を読んでみた。

10年以上前の本なので、情報は古い。
目次ごとの感想。

第一章「ライトノベルとはなにか」
ライトノベルとは何か……という説明だけど、最終的にわかんないよねという身も蓋もない結論になっている。一応、『中高生向けの読みやすい作品』というものらしい。
私も、よくわからない。明確な基準はなさそう。

第二章「ライトノベル作家になるには」
新人賞を取るのが王道ルートとなっている。他にも例外はあるらしいけど、例外は例外なので厳しい。一般的な道は新人賞。
社会人の常識は必要だよという事まで書かれてる。……私みたいな、常識のない人間には耳が痛い。

第三章「ライトノベルを書こう」
技術的なあれこれが書かれてる。 下記の円山夢久  (著)の物語の入門シリーズ三冊。

「物語」のつくり方入門 7つのレッスン
「物語」の組み立て方入門 5つのテンプレート
「物語」の魅せ方入門 9つのレシピ

に書いてあったような事なので、目新しいものはない。
推敲は音読でとあるけど、恥ずかしいなどの前に声が出ない場合はAI音声に読ませるという手が今はありそうだな……と思う。でも、自分で読まないとリズムが分からないというのも分かる。

第四章「ライトノベルの三要素」
キャラクター・世界設定・ストーリーの三要素の説明。
この辺りは純文学と明確に違うとは思うけど、最近、純文学(と思われる作品)を読んでいてもキャラクター(わかりやすい性格)どころか『人間味』すらないキャラがいるんだなと気が付いた。
この本は『ライトノベル』なので、ある程度わかりやすい性格付けが必要となってるけど、純文学であっても最低限『人間味(ふとした瞬間に見せるその人らしさ)』は必要だと思う。最低でもワンシーンは『そのキャラだから、そうなのだ』というシーンがないとおかしい。

世界設定は凝り過ぎ注意。
ストーリーは山と谷に注意しつつ、起承転結を基本にアレンジする。
……よく言われてるやつですね。

第五章「発想のトレーニング」
アイディアノートをつけようとある。これ……仕事してた時は持ち歩いてたな。ネタ浮かんだり詩を書きたくなった時に書いたり、お絵描きしたりという『自由帳メモ』
学生時代は本無しで、休み時間は常に何か書いていた。
読書発想ノートをつけようともある。これは読んだ本をアレンジするというもの。誰にも見せない二次創作メモと言った感じかな。人様の作品に手を付けたいとは思わないけど、こうだったらいいのにと思う物語はそれなりにある。

星新一を読んで芥川龍之介を模写すると良いらしい。
星新一は発想力のため。芥川は日本語の文章が美しい……らしい。お勧めを知りたい。

千六百文字、八百文字、四百文字、百文字、二十文字であらすじを書いてみる。というのも面白そう。

第六章「新人賞突破のために!」
レーベルの下調べをして、傾向対策を練る。そして、禁止事項に気を付けて応募しようという当たり前の事が書かれてる。あと、締め切り注意。
ただ、ここに書いてあるレーベル、今、存在してるの? ライトノベル、詳しくないのでよくわからぬ。

第七章「パターンを知り、活用する」
パターンは読み流し。
上記の『物語入門シリーズ』にもあった。


賞をとっても仕事をやめるなは、すごく的を射ている気がする。書きたければ好きに書いて公開できる時代に『売れるかどうか』を気にするのはおかしなことな気もする。

書くためには経験と知識が必要でその補充のためにも小説を書く以外の仕事が必要。
あと、賞を取っても消えていく人間は腐るほどいるには笑った。つまり『使い捨て』されるのが小説家なのだなと。

最近もTwitterで酷い担当に追いつめられて自殺した作家さんだとか、担当が一年ずっと連絡なくていきなり連絡来たと思ったら知らないうちに作品が受賞していたという作家さんの話を聞いた。
3年前には、Twitter上で数年前の差別発言を問題視されて誹謗中傷にあい受賞辞退した作家さんもいた。受賞者への妬み僻みはこれだけじゃなくて、マンガの世界でもあったので……あるあるとはいえ、足の引っ張り合いは醜い。

どの業界もそうだろうけど、闇はある。綺麗なだけじゃないんだよな……と思う。


ライトノベル作家になるつもりはないけど、当たり前の事が書かれてる。
情報が古くなってる部分もあるだろうけど『小説を書く』という基本部分はそうだなと思えるので、技術的な部分の一部はやってみたいなと思う。

図書館にあったから借りたけど、買うならもっと新しい別の本の方がいい。

『ライトノベル作家になる』