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「春期限定いちごタルト事件」を読んで

2025/05/16

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)  – 2004/12/18 米澤 穂信 (著)
春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

「春期限定いちごタルト事件 作:米澤穂信」を読んでみた。

アニメになっている小市民シリーズを見ているので、原作のこれも読んでみた。
アニメのシーンが頭にあるのでセリフが脳内で流れていく。小山内さんのあの独特感、そのままが文章になってる。いや。逆なのはわかってるけど。小説がそのままアニメになったのだけど。

目次ごとにみる。
*プロローグ
コミカルで面白い探偵もののワンシーンの夢と新生活決意。

*羊の着ぐるみ
ラブレター取り返し事件。この辺りはアニメを流し見してたので詳しくは覚えてない。けど、こういう空気感だよなぁと思いながら読んでしまった。
日常の小さな事件って楽しいけど……こんな都合よくできるの?とも思う。そして、文字で読んでも正直、意味がわからない。外に出て鞄を隠して濡れて……人が濡れてるんだから、鞄も濡れている可能性あるのでは?

*For your eyes only
美術部先輩が残した絵の謎。
こちらも正直、あまり覚えてない。こんなオチ……だったかな。ただこじつけな感じもしてしまう。映像だと流れていく情報が文字だと読み直せるのがいい。ただの『間違い探し』でただの『ゴミ』という身も蓋もない……。

*おいしいココアの作り方
これも日常の謎。あれこれ考えるのは楽しいのかもしれないけど、正直、くだらない。
熱いミルクは冷蔵庫に入れない方がいいのでは?と思った。

*はらふくるるわざ
これは謎のままなのでは?と思う。小山内さんの苛立ち原因が謎だったのだろうか。
学生さんは試験、大変だよね。

*孤狼の心
小山内さんが狼になる話。
こんなに都合よくいくものなのか?という疑問がやはり、ぬぐえない。物語だからそこまで深く考えなくていいのだろうけど……。
そして、携帯が古くてデータが受け取れないって……その時代でしか通用しないネタになりつつあるなぁと思ってしまう。

*エピローグ
小山内さんの反省と小鳩君の慰め。
アニメもこういう感じだったようなーと思い出しながら読んだ。

推理は楽しいけれど、なんだか算数をさせられてる気分にもなる。空気感のせいかな。楽しく読もうというような感じにはなれないのよね。あざとい小山内さんと、ずる賢い小鳩君の雰囲気が物語としてはいい感じだけど、推理を楽しむ空気ではない。あの二人の空気感を楽しむだけの物語。

日常に推理を持ち込むと『仮定の話がありすぎる』ので、日常って推理には向かないんだろうなとも思う。推理が出来るのは『非日常の空間』で『ある程度特殊な出来事』に対してなのかなぁとこの作品を読んで思った。でも、作品なので綺麗にまとめてはあるし、作品内でも矛盾をキャラたちが語ってるのは面白いと思う。

そして、話はかわるけど『鼻白む』ってこの作品にもあるのかと思った。最近、気になっている単語。もしかして、発生源はここ?……。いや。他の作品にもあるだろうから、ここだけとは限らないのかもしれないけど。でも、ネット小説だと使い方が違うんじゃないかなと思う使われ方をしてて、モヤんとする。意味が変わっているのかな。気になってる言葉なんだよな。

話を戻す。この物語のスイーツのシーンはお腹がすく。おやつを食べてから読むのがおススメ。あ。食べながら読むのはダメですよ。本が汚れます。

たまには頭を休めるためにこういう本も悪くない。


春期限定いちごタルト事件