闇の子守唄 単行本 – 2020/1/23 廣嶋玲子 (著), おとないちあき (イラスト)
「鬼遊び 闇の子守唄 作:廣嶋玲子 絵:おとないちあき」を読んでみた。
鬼遊び、冬バージョン。黒い表紙が印象的。星や雪も舞っていて綺麗さも感じる。ただ『鬼遊び』のタイトルに引きずられて、勝手に怪しい表紙なのかなと思ってた。髑髏も怪しいものもないどころか、動物たちが見ていて楽し気。
・凧あげ
見知らぬ男から貰った凧を使って、けんか凧をした少年の物語。
凧あげで勝った後も、凧が勝手に子供を空に持ち上げてしまう……。わかりやすい『怪しい男』も、見た目は普通なので『鬼』とは思えない。ドキドキした。
最後には子どもたちでちゃんとルールを作ってけんか凧を続けるのもいいなと思う。
・かるた
川に手紙を流して、かるた遊びの相手を探す少女の物語。
手紙を受け取ってやって来た少女は『鬼かるた』で遊ぶことを提案する。
かるたが『もじをとる』という遊びだという事を活かして、その札をとってできた言葉の通りになるのは面白いなと思った。ただこの場合『同じ文字にならない』ことにも気を付ける必要があるけど。
ただこれは『あと出しのルール』なので、普通に考えたら『ズル』なんだよな。鬼が『ズル』するのは当たり前かもしれないけど。他にも文面を思いつけば『抜ける』文字列があるのかもしれないとも思う。
・羽根つき
羽根つきで遊びたい少女の物語。
こちらも『かるた』と似た『文字遊び』になっている。羽根つきで負けると『顔に筆を入れられる』という罰を活かして、『文字を書く』
そこに描かれた文字とは……なんだろうと思って最後までワクワクしてしまった。なるほど、そうなるのか。こちらは人間側の勝ちですっきり。
・かた雪わたり
固まった雪の上を一番に歩くかた雪わたりが好きな少年の物語。
足跡しかない化け物に追いかけられて……。
よくある『化け物話』にも見えてしまう。前の話が面白かっただけにちょっと少子抜けしてしまった。
あと、この世界観で『用水路』の単語も違和感がある。小川なのでは? 用水路って『人工的に整えた川』だろうけど、そういう世界観じゃない気がする。
・かまくら
かまくらで遊ぶために真夜中に集まった少女たちの物語。
お友達の中の誰かが声をかけて、準備までしてくれたんだと思っていたら、それは『鬼』の誘いで……。
ん?かまくらって、こういう作り方だっけ? と思ってしまった。雪玉を作って転がすより、その場で雪を積み上げた方が簡単。小屋くらいの高さって書いてあるけど、それ、どうやって掘るのよ?と思ってしまった。
さらに『かまくらには神棚が必要なのに作ってなかった』って。えええ?? 神棚??どうやって作るの?
雪国暮らしには不思議なことばかりが書いてあって、首をかしげてしまった。
『ファンタジー』だから、あまり突かない方がいいというのもわかるのだけど、そんなかまくらの作り方したことないわ……と思ってしまった。
怖いシーンはなく淡々と鬼が「春までかまくらでお喋りしよう」と誘うだけ。春になったら、どうなってるんだろう。
・節分
節分の豆まきで鬼が豆に仕掛けをする。少年と少女がそれに気が付いて、村の人たちを助ける物語。
最後の物語が『鬼は外』なのは、いいなと思った。鬼を払って、春に続く。
最初と最後の歌は物語に絡んでる?のかな。次は春へ……となって巡る形。
4冊。読み終えた。
ところどころ世界観と合わないように感じる単語が出てきたり、シーンがどういう意味なのか掴めなくて困る所があったけど、大筋の物語には影響がないので『飲み込んで』読むしかないのだろうなと思った。
面白いのだけど、引っかかる。こういうの困るなと思う。もっと作りこまれた世界観が読みたい。
ホラー風味は美味しかったので、ごちそうさまでした。
「鬼遊び 鬼よぶわらべ歌」を読んで
「鬼遊び 地獄のお囃子」を読んで
「鬼遊び 髑髏の手まり歌」を読んで
「鬼遊び 闇の子守唄」を読んで