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北日本児童文学賞の作品を読んで

2023/07/15

新聞を見てたら、北日本児童文学賞の受賞記事があった。
そして、最優秀賞と優秀賞の作品が掲載されていた。

新聞に載っていたので読んでみた。ので、感想を書いてみる。



最優秀賞「耳かき大はんじょう」
テンポ良くて読みやすい。
主人公はおばあちゃん。
お話しはただの(?)耳かきの話なのだけれども、耳かきが上手いと評判であちこちから人が来る。最初は普通に人間だったのに、竜までもが耳かきをしに来る。果ては旅行先の観音様まで……。


ただの耳かきが、『人間』から空想上の生き物(竜)へさらに、観音様(生き物ですらない)
観音様の耳あかって、ただの埃では?なんて思うのは私が大人になってしまったせいだろうか。

でも、読んでいて楽しかったし、面白かった。絵本として見てみたいなと思ってしまった。



優秀賞「お母さんの鞄」

母親が死んで、母親の故郷を探す女の子の話。……年齢設定いくつぐらいだろ?十代半ば?
僅かな手がかりから、母親の痕跡を追っていく。淡々と物語が進んでいく、安定したお話し。

ワクワク感はあまりない。
お話しも何となくありきたりだけれども、細かい設定には「なるほど」と思わされた。
落ち着いて読みたいならこれかもしれない。

ラストのおじーちゃん(母親の父)に会えるところも、上手く話がまとまっていて「そんなエピソードが」と思った。



優秀賞「月に帰す」

雑なおにーちゃんと病気を持った弟君がお留守番する話。
母親が留守の間にウサギが死んでしまい、火葬したいという弟君の願いをおにーちゃんが頑張って叶えてあげる。


正直ちょっと……ドキリとした。
弟の病名がはっきりと『自閉症スペクトラム』と明記されていたからだ。弟君の行動がなければたしかに物語は成立しない。
けれども、それを障害のせいだと明記してしまっていていいのだろうか?と考える。
弟君は障害があるから買い物ができない…「これではこの子の未来はどうなるのか」と母親が悲観するシーンがある。

私の身近に『自閉症スペクトラム』の子供がいないのでわからないけれど、診断があるなら療育がある……のではないだろうか?と思ってしまった。もしくは、相談場所ぐらいはありそうな気がした。

『スペクトラム』だから、人それぞれ症状は違うのは判るのだけれども……だからこそ、『自閉症スペクトラム』という名前をわざわざ出してしまう事に何とも言えない、モヤッとしたものを感じた。


が、当事者でもない私がそんな事を感じることが差別なのかもと思ってしまう。

つまり、話とは全く違ったところでもやもやしたものを持ってしまって、物語はあまり楽しく読めなかった。


障害を出すならせめて希望が欲しいけれど、この物語は最終的に
「おにーちゃんが弟の面倒を将来に渡って見る」という結論で終わってるのだ。
その辺りも何とも言えないもやっと感。


せめてラストに【『自閉症スペクトラム』の症状は人それそれです】みたいな注意書きが欲しいところ。
これがただの『こだわりの強い弟君』というだけなら、すんなり読めたような気がする。



という感じの作品を読んだ……というメモも含めて。



2018年北日本児童文学賞
2019年北日本児童文学賞