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北日本児童文学賞の作品を読んで

2023/07/15

去年に続いて、今年も感想を書いてみる。


最優秀賞
「ヒロタ君へ」 転校生が転校生にお手紙を書く話。

私は転校をした事がないけれど、こんなシーンがあったなぁと思いだした。
転校してきた子もいる中で、「転校していった○○さんにお手紙(一言だったかな?)を書きましょう」みたいな。
たしか、転校生は免除されてたような。
クラスが一緒と言うだけで、特に親しくもなかった転校していった子に何かを書くのは苦痛だった。

で、物語では「転校生なのに、転校していった子に手紙を書く」という難題がぶつけられる。
そんなバカな……と読み進めると、主人公は一旦、先生に無理だと伝えに行く。
それを、「書いてみて」と押す先生。
……え?
主人公ではなくてもポカーン("゚д゚)としてしまいそうだ。
主人公は「だったら、すごい手紙を書いてやる」と一念発起するが……素直すぎる主人公。

そんなこんなで転校していった子の事を調べて、聞いて回って、手紙を完成させる。
その中で、転校してきた自分にも似たような気持がある事に気が付くという話。
途中で、携帯電話が出てくるあたり……現代だなぁと思った。
小学生でも、もう持ってる子は持ってる。すっきりとまとまって読みやすいお話。


優秀賞
「どんぐりかぞく」どんぐりのお話し。

自閉症の兄がどんぐりに家族の顔を描く。
弟の視点で書かれた、お友達や家族のやりとりの物語。

前回も障がいと言う設定があった。前回はなんだかモヤッとした。
けど、今回のこの作品は障がいが上手く物語に取り込まれていて、気にならない。

障がいがあるから起きる現実だろうなと思えることが、次々と起きる。
お兄ちゃんがお友達にけがをさせたり、教室で噂の的になったり、それに主人公が耐えられなくなったり。

内側から見たら、めちゃくちゃだと思っている家族も、友達が見た外からの姿は羨ましい真っ青な芝生に見える。
隣の芝生は青く見えるから、嫉妬してしまうお友達とか。
どこまで理解できているのかよく判らない、お兄ちゃんとか。
振り回されて、疲れている弟君とか。
いつもニコニコなんてしていられない…泣いたり怒ったりのどんぐりかぞく。
すれ違いが上手く合致して、綺麗にまとまって終わってる。
すっきりとした気分になれるお話し。


優秀賞
「風の笛」 滑舌の悪いお兄ちゃんと、お友達との関係に悩む妹の話。
最初は妹のお話しかなと思ってたけど、後半はお兄ちゃんメインな話。
スクールカーストっぽいお話しも入っていて、今どきだなと思った。(いや。昔からあるのかもしれないケド)
不愛想なお兄ちゃんは最後は子ネコの為に、あれこれしていたんだと判ってカッコいい。
見た目不良な人が意外と優しいなんていう部分も、これは前半のお友達部分にかかってるんだなと思った。
お友達はオシャレでモデルにスカウトされたという噂もある…でも。
こちらも、いろんな部分が上手く合致して綺麗に終わっている。



3つとも、すっきりとまとまりすぎていて、つまらない。

ああ。いや。違う。ワクワクしないんだ。
どうなるんだろう……みたいなものは感じるけれども、「これかな」「あれかな」と先を想像する余地が無い。
「ヒロタ君へ」はそうなるしかない話だし、「どんぐりかぞく」も先を読みたいという話ではない。
「風の笛」も、最初がつまらなすぎて、読むのをやめようかと思ってしまった。


前の耳かきのお話しは面白かったのになぁ……。


と言うような感じの感想……。


2018年北日本児童文学賞
2019年北日本児童文学賞