空の絵本 (ことばのおくりもの) 単行本 – 2008/3/1
あまん きみこ (著), 松成 真理子 (イラスト)
「空の絵本 文:あまんきみこ 絵:松成真理子」を読んでみた。
実は同名の別の絵本を図書館で探したけど、それが出てこなくて代わりに出てきたのがこの本だった。
あまんきみこさんは「ちいちゃんのかげおくり」を書いた作家さん。
エッセイ本。
ほのぼのとした日常や子どもの頃について視点が優しく書かれてる。
全部で13のエッセイだけどどれもほんわかした気分になれる。絵も優しい。
「自転車をおりる」では、自転車で幼稚園の送り迎えをしていた母親がケガで歩いて送り迎えをするようになって、子供と話す時間が増えたり自然を見つめる時間が増えたことに気がついて、歩いて送り迎えをすることにする。
ほんわかしてしまう。歩いて行ける範囲ならそういう時間の使い方の方がいいのかも。
「2.思い出すままに」には子どもの頃の話が多い。どれも優しい母親との思い出話。優しいお母さんだったんだろうなと思う。父親の姿は出てこないけど、いいお家だったのだろうなと思えるエピソードが続く。
その中に、「子どもが出来てからは、夢の中にも子供たちが出てきた。自分も子供の姿なのに、子供たちが夢の中で危険なことをするので目を離せなくて、母親をやっていた。でも、ある日、お母さんを探す夢を見た。その夢で私は子どもの姿で母を探していた。そこに子供たちは出てこなかったことに気がついて、子供たちが親離れしたのだと知った」というようなエピソードがあった。
ああ。すごい。夢の中でも親を探すんだ……と思ってしまった。
私、そんな夢を見たことがない。親や妹弟が夢に出てきても、私が守る役目をしてた。親を探す夢も親に助けを求める夢も見たことがない。もちろん、現実でもそんなのはあり得ない。親を助けるのが私の役目だったから……という事に気がついてしまった。
よく考えたら、私のうちは親子逆転してたんだなと。全く関係ない幸せな人たちのエピソードから気付かされるのツラいな。これ、虐待系の話を読んでても気がつかないし、虐待系だと自分より辛い人たちが沢山出てくるから、『自分の辛さ』はわかんないんだよな。自分の辛さを知るのは自分より幸せな人たちのエピソード。……こういう読み方、あまり良くないんだろうなと思うけど、気がついてしまったので感想に残しておく。
最後には「空の絵本」のタイトルと同じエピソードが出てきた。
風邪で寝ているしか出来なかった時に見上げた『窓の向こうの空』が絵本のようだったという話。
素敵だなと思う。
どれも優しくて素敵。
ごちそうさまでした。
『空の絵本』