おうち性教育はじめます 思春期と家族編 単行本
– 2022/12/15 フクチ マミ (著), 村瀬 幸浩 (著)
「おうち性教育はじめます 思春期と家族編 著:フクチマミ 村瀬幸浩」を読んでみた。
2冊目。内容は最初のものと被っている部分もある。最初の本の情報に思春期の子どもに対する知識と対応の話もプラスされた感じ。
迷ったら、こっちをお勧め。子どもが思春期前なら一冊目は役立つけど、思春期を過ぎてる場合はこちらの方がいい。そして、単に読んでみたいだけの場合もこちらだけでいいと思う。
目次ごと。
1章 思春期のおうち性教育って必要?
まず、性教育の必要性の話。性交同意年齢は16歳に引き上げられたと注意書きで書いてあった。本書が出た時は「13歳」だったので、そういう話で漫画では書いてある。
『話し合う双方が持っていたい考え方【行為は否定しても 人格は否定しない】』32p
章最後の2コマ。男性が男女平等の話は、自分を否定されてる気分になる……というものに対して、こう書いてある。
私は女だけど、「女ってヒステリーで、男に暴力振るっても問題にならなくていいよな」と言われても、責められてる気にはならないのよね。だってそれは『そういう女もいる』という事で、『社会が女の暴力を矮小化して見ている』という問題提起なだけで私自身には何のダメージもない話だから。一緒に「そうだよね。男女問わず暴力はダメだよね」というだけ。男性たちも、いったん落ち着いて言葉を分解して考えてほしいのだけど……なぜ、それができないのだろうか。なにかトラウマがあるの?
2章 思春期に知っておきたい 自分を守る考え方
いつもの『プライベートパーツ』『NOの伝え方・受け取り方』『同意の取り方』『バウンダリー(人との距離を学ぶ)』この辺りの話。
でも、この章はその話に絡めて、『子どもに対する親の態度について』も書いてある。子供の意見を聞いて、子供の意見を受け入れつつ、親側の意見・気持ちも伝える。……たぶん、親が一番難しいのこの章なんじゃなかろうか。ガンバレ。親!!と思いながら読んでしまった。
3章 性の多様性と平等
性の多様性に関する話。
これ、性自認(心の性)についてもたくさん書いてあった。『中間・両方・無・行き来』……いや。行き来って何だ? 悪いけど、理解できない。
今日は女にチェックしたくなって、明日は男で、一週間後にまた女?……性別って性行為(子作り)や医療に関わる以外でそんなに聞かれる? 書類をたくさん書く3・4月辺りはわかるけどそんなに毎日コロコロ変わってたら、心が不安定にならない?
女装したい気分と男装したい気分というのは、私もあったからわかるけど性別丸ごとコロコロ変わるなんて経験した事ないよ。
さらに、性的指向。
『恋愛感情や性的欲求を感じる相手がどの性別(性自認)かということだよ』81p
相手の性自認で恋愛するの?体の性ではなくて?見た目の性(性表現)でもなくて?
難易度高いな。いちいち相手の性別を聞かないと、自分の好きな性別かどうか(異性・同性・その他)の確認できなくなるけど。
さらに言えば、恋愛する相手ではなくて、する当人の性別が『男女以外』の場合はどこにはいるんだ?という大きな疑問……。
せめて、体か性表現でにしてほしい。心の中なんて誰にも分かんないし、行き来する性別同士の人だと、今日は異性愛で、明日は同性愛、一週間後は全性愛(パンセクシャル)になってしまうのでは? ……いや。それはそれで、楽しそうだし、当人がいいならそれでいいけど。
そして、ここで書くべきはいろんな恋愛があるよではなくて、『見た目からは判断できないのでうかつなことを口にしてはいけない』だよね。異性愛に見えても、同性愛かもしれないし、同性愛に見えても異性愛かもしれない。他者はその判断が一切できない。当人が明言した時にやっと確定できる。
私だったら、悪いけど体の性別を知った上で恋愛したいなと思ってしまった。でも、そういうのも古いんだろうな。今の恋愛は『心の性別』で判断するのか。
4章 思春期のからだと心
女の子と男の子のからだのこと。これは「おうち性教育」の部分と重なってる点が多い。
でも、クリトリスの図解が詳しく載っていた。体の中に大きく入り込んでるという話。コラムでも視点を変えた図が載っていてわかりやすい。
さらに男女共通で『性欲を自分で管理できるようになることが大人になること』154p
とも書いてある。その為にセルフプレジャーは有効……。
ところで、自慰という言葉は消滅したの?それも、差別語だったかな。卑猥な意味がある?なぜ、出てこないのか疑問に思ってしまった。手淫や自涜は出てきてたけど……古すぎて聞いたことないんだけど。
自分を自分で慰める『自慰』ではダメなのだろうかーと疑問に思ってしまった。他に、なにか卑猥な意味でもついてるのかな。うーん。いや。自慰じたいが卑猥? わからん。
5章 性的に親密になるとき 起こること
セックスの話。
セックスの目的は三つ。『生殖』『快楽・共生』『支配』
『日本のAVやアダルトサイトの性情報にはこの支配の性と暴力をセットで描いたものが圧倒的に多い』167p
これ、AVやアダルトサイトだけがそうならまだ問題は小さいけど、『広告』や『一般的な作品』でも「愛してるならこうする」の形で出てくるから悪質なんだよな。
避妊やデートDVについても書いてある。……デートDVの情報は必須だろうなぁ。昔なら『当たり前』だとか『愛されてる』みたいな形で曖昧にされてた部分だろうから、親でさえも下手したら『支配』を愛だと誤解したまま家族になってる可能性がある。
さらに平等な関係についても
『平等な関係には「相互性と対等性」がある
相互性:お互いに相手をよりよい状態にしたい気持ちがあること
対等性:自分がどうしたいか相手にどうして欲しいのかを伝えられる』212p
とある……。恋愛に必須なのはセックスではなくて、こういうもの。
この章の最後『コラム11』があるけど、目次は『知っていますか? 性交同意年齢が13才ということ』になってた。中身は『知っていますか? 明治以来の刑法改正 性交同意年齢が16才に変わったこと』というコラムに変更されていた。23年11月に加筆修正されたと注意書きにあったけど、目次修正されてなかった。めずらしい気がするので得した気分。(8版発行になってた)
6章 自立とこれからの親子関係
思春期の子どもとの向き合い方……この章はがっつり親向け。親も心構えが必要。そして、思春期の心の不安についても書いてある。なるほどなと思った。
ほとんど変わらないけど、思春期向けに詳しく書いてあったり、デートDVの話を盛り込んでいたりと至れり尽くせりな本。性の多様性部分は疑問符があるけど、この辺りはまだ情報が足りないのかもしれない。他の本で調べ直したい。
ごちそうさまでした。
「おうち性教育はじめます」を読んで
「おうち性教育はじめます 思春期と家族編」を読んで