いやいやえん (福音館創作童話シリーズ) 単行本 – 1962/12/25
中川 李枝子 (著), 子どもの本研究会 (編集), 大村 百合子 (イラスト)
「いやいやえん さく:中川李枝子 え:大村百合子」を読んでみた。
「7SEEDS 作:田村由美」の作中にあった『いやいやえん』が実在していると知ったので、図書館で借りてみた。ぞうとらいおんまる……がやっとわかった。
小学校低学年向けの児童書。7つのお話が入っている。ひとつずつ感想。
・ちゅーりっぷほいくえん
しげるちゃんの物語。ちゅーりっぷえんの紹介と、この物語の主人公しげるちゃんが悪ガキという事が書かれている。
男の子が『ちゃん』付け?と思ってしまったけど、この時代はこうだったのかなと思うサザエさんのタラちゃんも『ちゃん』だし……たぶん、そういう事なのだろうな。
・くじらとり
ほいくえんの物語と思ってたら、海に行ってしまった。船の名前が『ぞうとらいおんまる』……おお。この船の名前かと思ってしまった。
くじらをとってくるのは面白いと思ってたら、クジラに助けてもらう物語だった。
・ちこちゃん
NHKの某キャラと思ってしまった。もちろん、違う。無関係。
ちこちゃんの真似をすると宣言したしげるちゃんは、女の子の服を着せられて大変な目に合う。最終的にはちこちゃんに頼んで助けてもらう物語。
しげるちゃん、どの物語でも『悪い子』を一貫してて好き。でもちゃんと反省もする。
・やまのこぐちゃん
変わった名前だなと思ったら、子熊のこぐちゃんだった。
ほいくえんにお手紙を出して、通っていいよとお知らせを貰って喜んできたこぐちゃん。でも、ほいくえんのみんなとは違うことが多くてお互いにびっくりしてしまう。
いろんな子がいるよという物語なのかなと思った。ほんわかしてて好き。
・おおかみ
おおかみが保育園に??と思ったら、違った。保育園をさぼったしげるちゃんが野原にやってきておおかみと遭遇する話。
おおかみがしげるちゃんを食べようと奮闘する姿が面白い。
・山のぼり
山には果物がなっている。けれど、一つだけ真っ黒な山がある。果物の山に登って、果物を一つだけ食べていいと言われていたのに、しげるちゃんは二つ食べてしまう。そして、黒い山に登ってしまって……という物語。
ちょっと痛い目に合う物語だけど、最後が面白いので好き。破れた服で帰るの。
・いやいやえん
本のタイトルにもある『いやいやえん』どこで区切るの?どういう事?と思ってた。
『嫌、嫌。園(保育園)』という意味だった。あれもこれも嫌だと言ったしげるちゃんは問題児ばかりの「いやいやえん」に連れていかれて……。
自分と同じような嫌な子たちばかりで、元の保育園が素敵な場所だと知るという物語。
おもしろい。「いやならいやでいいの」で大丈夫なの??と思ったけど、上手く子供が嫌だと思う要素をちりばめてある。面白かった。
よく読めば教訓があるけど、『子供』が見てる世界の視線なので、物語がすっと入り込んでくる。大人の都合に子供を合わせるのではなくて、子どもの都合に大人を合わせつつ、じわりと『それはダメ』が染みるようになっている。
でも、今の時代「ものおきに子供をとじこめる」はやっちゃダメなんだよな。
「ごふじょうへいってから」p113「わがはいは、たんげさぜんである」p167
この辺りの言葉も、わからない言葉だなと思う。
ご不浄はトイレのこと。「たんげさぜん」は架空の剣士らしい……知らない。わからない。でも、書かれた当時は有名なキャラだったのだろうなと思う。
時代を感じるのはしょうがない。でも、面白いことに変わりはない。子供が夢中になって読むのも分かる。
ごちそうさまでした。