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「その魔球に、まだ名はない」を読んで

2024/04/16

その魔球に、まだ名はない – 2018/11/26
エレン・クレイジス (著), 橋本 恵 (翻訳)

その魔球に、まだ名はない

「その魔球に、まだ名はない 著:エレン・クレイジス 訳:橋本恵」を読んでみた。

面白い。誕生日にお勧め本ないですか?と読んだ本リストを公開してお勧めされた本だけど、無茶苦茶面白かった。ただ、時代背景が上手く掴めないのが残念。私にもう少し知識があれば……と思ってしまう。


でも、そういうのを排除しても面白かった。


主人公は野球をする女の子。時代は……1950年代半ば。ソ連がスプートニクを飛ばしたころのアメリカ。リトルリーグから規則違反になるから入れられないと言われた主人公ケイティ。反論の為に女子野球選手の事を調べ始め、証拠を集める。調べれば調べるほど絶望的になり、一旦は調べることをやめてしまう。しかし授業で『アメリカのヒーロー・ヒロインを調べる』という課題が出て、そこでケイティは女子野球選手をテーマにすることに決めた。
調べるうちに、黒人のチームの事、女子がどんな立ち位置にいたかを知る。

学校での発表は大成功で、廊下に発表が飾られる。それを見た友人の父親が新聞に載せる事を提案する。喜んでインタビューを受け、それが新聞に載る。自信を持ったケイティはリトルリーグに改めて手紙を送るが返事は『数年後に議題に上げる』というもので、その年にはケイティは年齢があがりリトルリーグには入れないことにがっかりする。

それでも、ケイティは野球を続けることを決める。というようなストーリー。

スプートニクという時事ネタも出てきて、物語に絡むのも良かった。アメリカの悔しい感じも……面白いと言っていいのかどうかわからないけど、張り合っていた時期だからたぶんそんな感じなのだろうなと。
ケイティの家族や周囲が理解あり過ぎだけど、さらにその外側の人になると『女の子が野球なんて』という空気感がひしひし感じる。子供なのでそこまであまり行かない感じだけど。それでも事あるごとに『何か言われそうな空気』には出会う。そして、実際に言われることもある。

いろんなものが詰め込まれていて、楽しかった。ただ、情報が多すぎて、誰が何で何だって?野球選手12名??え?そんなにいた?たくさん出てきて、もうわけわからん。みたいな感じにもなる。頭が追い付かない。

男女で分ける理由はあるのだろうけど、能力で選べるなら『男性より優秀な女性』がそのチームに入るのは合理的な気はする。ただ、大抵の場合女性の方が能力が男性に届かない……ので入れない事が多い。筋肉量や体力、etcなどどう頑張っても無理なモノもあるよね。格闘技になると顕著になりそうだけど……野球はその辺りはある程度クリアできるのかな。それとも、

読んでて楽しかった。

この本と合わせて読むと面白そうだなと思ったのは「ぼくがスカートをはく日」の本。
こちらは女の子になりたい男の子の話。歴史も何も絡まない思春期の甘酸っぱい物語がメイン。差別や偏見は混ざってるので、その辺りは魔球と重なる部分もある。


『その魔球に、まだ名はない』