「わたしは女の子だから 世界を変える夢をあきらめない子どもたち 文:ローズマリー・マーカーニ― ジェン・オールバー 訳:西田佳子」を読んで。
女の子が生きている危険な世界のあれこれについて書かれてる。8人の女の子の物語とコラムを挟んである。
・アヌーパの話☆ネパール
両親の借金の代わりとして7歳で奴隷(カリムラ)になり、8年間奴隷として暮らした少女の物語。
生理の時は牛小屋に押しやられ、一日中家事をする生活。一応、奴隷は違法。
女の子の学ぶ権利は奪われている。家事労働・貧困・学校までの距離・早婚・妊娠出産・校内暴力など様々な理由で……の中に、13歳で六か月の子供がいる子供の(早婚)話が載っていて、吐きそうになってしまった。世界にはそんな場所もあるのは分かるけど、それにしても……みたいなショックが。
様々な理由で女の子の教育の機会は剥奪されている理由……ある程度は知ってるけど、ある程度以上は知らない。
・ルーシーの話☆ジンバブエ
両親が死んで、食べ物にも困る暮らしの中で学校に行っている少女の物語。働いてもお金がもらえない。同じように両親を亡くした子は物乞いをしたり、身体を売ったりしている。
女の子の栄養状態は悪い。女の子は男の子の三杯、栄養失調にやりやすい。世界で飢えている10人のうち7人は女の子。食料の供給の主役は女性だけど、土地所有は男性が多い。
食事を作ってる女性たちは食べられない事が多いというコラム。分かる。女の子は男の子に譲りなさいというの、キム・ジヨンの本のシーンにもあった。
・ファーワの話☆パキスタン
12歳の時親友、ソニアが結婚して14歳で1人目の赤ちゃんを産んだ。周囲の子たちもどんどん結婚していって、自分もそうなる時におばが助けてくれたという話。
14億人が一日当たり1.25ドルで暮らしています。その70%が女性と女の子です。
貧困のほとんどが女性と女の子……という事は、独り身の(結婚するほどの資金はないけど、食うには困らない)男性が多いという事なのか。
女性が結婚時にお金がもらえる仕組みって、結局は『身売り』だなと思う。日本も結納金があるけど……あのシステム、気持ち悪いなと思う。
・マリネルの話☆フィリピン
台風で何もかもが流されたお話。
出生登録大切というコラム。ここに来てやっと、ヘビーな話から抜けた。
環境問題・性差別の問題に取り組もう……という話だった。
・キャスリンの話☆南スーダン/ウガンダ
銃撃で家を追われ、難民キャンプで子どもたちだけで暮らす物語。
おばあちゃんたちが率先して栄養改善の活動をしたり、バングラデシュでは結婚をやめさせたりという活動がされている。
女の子たちの活動の話がメインになってきて読みやすい。あちこちでいろんな活動と成果がある。
・マルユリの話☆ペルー
学校で性暴力があったため、父親に家に閉じ込められた物語。教師が母親を説得して、母親が父親を説得して学校に戻ることが出来た。学校ではビジネスのプログラムが始まっていて、それを学んでビジネスを始める。
女の子たちの教育は収入を増やす。女の子が教育を受けるチャンスが少ない国ほど貧しい。
ここまで読んでふと思う……。それまでの男の子たちへの教育はどうして、収入と富に結びつかなかったのか。
・ハキーマの話☆ウガンダ
国連女性の地位委員会に子供代表として出席した話。
子だくさんで大変だけど、親は頑張って学校に行かせてくれる……のは良いなと思う。最初の話が重すぎて、徐々に軽い感じになってきて拍子抜けする。
・ファミーダの話☆カナダ
カナダに住むパキスタン生まれの女の子が、パキスタンに行ってみて女の子の権利が侵害されていることに憤り活動する話。
少額融資などで女の子たちがビジネスを始める活動もしている。
こんなひどい世界でも、様々な活動で少しずつ変わってきているよ……という本。
女の子の貧困とあると『男の子は?』という人たちが出てくるけどこれは相対的に見て女の子の貧困の方が酷いという話で、『男の子に貧困はない』とは言ってない。
男の子には男の子の貧困があると思うので、それはそれでまたいい本があったら読みたいなと思う。