若おかみは小学生!PART3 花の湯温泉ストーリー (講談社青い鳥文庫)
– 2004/4/15 令丈 ヒロ子 (著), 亜沙美 (イラスト)
「若おかみは小学生! 3 作:令丈ヒロ子 絵:亜沙美」を読んでみた。
またまたラストは意味不明な状態で終わった。やっぱり『引き』なのだろうか。他の本を読みたいので、もういいかなと思った三巻目。
ここまで読んで思う。シーンがぶつ切りなので、伏線としてのシーンというよりも思いつきでいったんそこに入れ込んだのかなと。上手くシーンとシーンが繋がらない。
一巻のラストの『実はウリ坊のユーレイはおばあちゃんの幼馴染で、主人公に乗り移って助けた』というのも、二巻で『おばあちゃんが写真を探して見つけた時に、昔の写真が出てくる』けど、別にストーリーとしてはあってもなくてもいいシーンだしとりあえず『入れました』みたいなものしか感じない。何というか、『説明のためのシーン』にしか見えない。
おそらくキャラを深めるための大切なシーンのハズなのに、扱いが雑に見える。他にも母親から貰ったペンダントも二巻では出てこなかったのに、三巻ラストでいきなり『ユーレイ撃退アイテム』になっている。意味が分からない。一巻ではそのペンダントを見ている時に『ユーレイが出てきた』というのに。
さらに、三巻になっていきなり『誕生日が過ぎた』となっていて、『誕生日はこんな事をした』という過去の語りで何があったかを読者に伝えている。
そこ、物語として『書く』シーンじゃないのだろうか。あんなに『誕生日に渡してもらうハズだった母親の形見になったペンダント』を一巻で書いてたのに、三巻でいきなり『誕生日が過ぎた』事になってるの驚くわ。
二巻で雑誌の取材を受けて、三巻では人気が出たよという話になっている。
そしてまた、お客様の為に奮闘する主人公の話。
この物語に必要とされているシーンが分かりやすくていい……とは思う。主人公の誕生日シーンよりも主人公がお客様の為に奮闘しているシーンが重視されている。
主人公は『受け身だけど、キレやすい』という謎キャラなのはそれが動かしやすいからだと思う。書き手としては『受け身キャラ=周囲の言葉で簡単に動いてくれるので周囲のキャラの言葉を書けばいい』『キレ易い=怒るキャラはそれだけでハプニングシーンを作りやすい』
以前、なぜ少女漫画の主人公はドジっ子が多いのかという謎に答えてたものがあったけど、『その方が物語が動かしやすいから』とあった。確かに、ドジっ子はそれだけで物語を動かしやすく、目立つシーンを作りやすい。
同じように『キレ易いキャラ』も物語を動かしやすいけど、こちらは注意しないと読者の反感をかう。おっこ(主人公)はこの辺りは良い感じに『他人のために怒る』ので、読者の反感をかわずに物語の中の客を不快にさせて自信を無くすというワンパターンシーンが仕上がっている。
三巻目になると、それ、もう要らないとも思う。
客にキレて自信を無くすか、転んで失敗して自信を無くすか、新しい事をやろうとして失敗してしまうかの三種類ほどで二・三巻が仕上がっている。
三巻ラストでユーレイが絡む話になりそうだな……とは思ったけど、物語が『若おかみ』になってるのでそれはないだろうなと。また説明っぽい話でさらりと流れて『お客様とのやり取り』に終始しそう。
三巻目でウリ坊(男の子)が女湯を覗こうとするシーンがあるけどそこで
「ちょっとしたかわいらしい少年の好奇心やのに」とウリ坊が言っているの時代だなぁと思う。
今の時代設定でこれを書いたら、いろいろ問題大あり。
図書館で先をパラパラ見るくらいはするかもしれないけど、ちゃんと読むのはここまで。もう限界だーーーと思った本でした。