村上 春樹 (著), Kat Menschik (原名), カット メンシック
「バースデイ・ガール」 著:村上春樹 を読んでみた。
実は2度目。再び図書館で借りてみたけど、内容を一切覚えてなかった。
すごく『モヤッとした』気分は覚えてるけど、何かいい感じに感想だけ書いておこうと思って以前はあんな感想になった。
感想を書く事に慣れてなかった。
今は『嫌』と思った部分も、『モヤッとした』部分も全部書こうと思ってる。全部書こうと思ってるので、無駄に長くなる。
中学校教科書に載ったと帯に書いてあるように、たしかに教科書向けだなと思った。
当たり前だが性描写ゼロ。乱暴な言葉も下品な言葉もない。唯一『独身男性』の描写が少し引っかかったが、視点が『二十歳の女性』と考えるとこんなものかなとも思える。
以下、ネタバレ。
物語は『彼女が僕に二十歳の誕生日にあった事を語る』という形で進む。
彼女は二十歳の誕生日にアルバイトをしていた。フロア・マネージャーが倒れて、彼女がオーナーに食事を運ぶ様に言われる。食事をオーナーの部屋に運ぶと、『少しだけ』とお酒を勧められ今日が誕生日だという話になる。
オーナーは「君の願いをかなえてあげたい」といい、彼女は願い事を言う。
その願い事は最後まで明かされないが、話を聞き終えた僕が二つ質問をする。
『その願い事は叶ったのか』→『イエスでありノオね』
『その願い事をして後悔はしていないのか』→『人間というのは、どこまでいっても自分以外にはなれないものだ』
後悔をしているかいないかと言う形では答えない。
さらに彼女は僕へ質問をする。
『もしあなたが私の立場にいたら、どんなことを願ったと思う?』→『何も思いつかない』
それを聞いて「あなたはきっともう願ってしまったのよ」と彼女は言う。
中学生のテスト問題がいくつか思い浮かびそうな小説。特にラストのやり取り辺り……テスト問題にしやすそうですけど、どうなのでしょうね。
『どんな願い事をしたと思いますか』という問題は絶対にありそうだと思いながら読み終えました。
ついでにこれ、『世界平和』でも願ったのかなと思ったのですが、「後悔はしていないのか」の質問に夫がいて子供がいて車があって犬がいてと現状の生活がつづられているのを見ると、もっと個人的な願い事なのかなと思った。
「平凡な日々がずっと続きますように」とか「小さな幸せがそれなりにありますように」とか。
そして、『僕』と『彼女』の関係は特に書かれていない。しかし二人の会話から『僕』が夫ではないことは分かる。
ノルウェイの森やスプートニクの恋人を読んだ後では、『僕』は『彼女』を好きだが結ばれず他の女をとっかえひっかえしているという背景があるのではなかろうか……と邪推してしまった。
短編もそんな感じだったので、この人が書く男女の関係ってそれしかないのかなとしか思えなくなっている。
そしてたぶん、また内容は忘れそう。
バースデイ・ガール 単行本 – 2017/11/30村上 春樹 (著), Kat Menschik (原名), カット メンシック