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「名探偵の掟」を読んで

2024/02/20

名探偵の掟 (講談社文庫) 文庫 – 1999/7/15東野 圭吾 (著)


「名探偵の掟」を読んでみた。

タイトルから普通に探偵ものかな?と思っていたけれども、真逆だった。
探偵ものをとことん皮肉った物語だった。


物語の中のキャラクターが物語の中だけで語るのではなく、一旦『物語から離れて語る』というシーンがよく出てくる。
その『物語から離れて語る』内容は物語だけではなくて、読者も皮肉る。
正直、所々グサッと来るものがあった。

「大部分の読者は、直感と経験で犯人を見破ろうとする」(意外な犯人から)

つまり、犯人を推理している訳ではない。
そう言われてもたぶん私は探偵ものが好きだし『犯人予想』をしながらこれからも、探偵ものを読むだろうなと思う。


正直、探偵ものとして読み続けるとこれは辛い。
トリックも犯人も物語さえも極限まで削って、探偵ものへの皮肉を貫いている。
登場人物なんて、ただのミスリードのために出てくるキャラには名前すら出てこない。
けれど、探偵もののパターンや読者の姿勢や作り手の姿勢など、学ぶべきものは多かった。


使い古されてしまったネタの中で、新しい視点を突きつけてくる作者はすごいのだろうなと思う。


……教科書よりは読みやすくて面白いけど、求めているのは『単純に楽しめる物語』
再びこれを読むときは…、探偵ものを書こうかなと思った時かもしれないと思った。


そんなお話しだった。


『名探偵の掟』