「雪の日にライオンを見に行く 作:志津栄子 絵:くまおり純」を読んでみた。
中国残留孤児だった祖父を持つ唯人の物語。大阪に来た転校生アズと関わるうちに唯人は変わっていく。
大阪という場所が良い味を出してると思う。けど、私にはアズの気持ちの方が近い。人によっては本当にわからないまま物語が進みそうだなとも思ってしまう。こういう『場に合わせたノリ』は許されてしまうがゆえに、『何がダメだったのか』がわかりずらいし、『場に合わせない方が悪い』と思いやすい。その辺りを空気感で書き上げてしまってるので、読める人は読めるだろうけど、わからない人は置いてきぼりにされそうだと思う。
さらにそこに中国人か日本人かという揺れが唯人の中に沸き上がる。この辺りも、児童書にしては難しい気がしてしまった。子供向けというには感情が複雑すぎる。
でも、感情の揺れは『なんか悩んでいる』で読み飛ばしていく感じにしてもいいのかもしれない。そこまで深く考えてもらうことは必要としていないのだろうか。数年後に読み直してもらうことを考えている作品かな。
私が小学生の頃にこの作品に出会っていたら……『わからん』けど、『大人が読ませたい』と思ってる部分はわかるというあざとい読み方をしたと思う。
アズの存在が唯人の揺れと重なって、共感しやすい場所まで降りてきているような気がする。唯人の『中国人か、日本人か』という揺れは正直、難しすぎる。アズの『みんなと違う』という感覚の方が共感しやすい。
それを『雪の日にライオンを見に行く』ことで表しているのも面白いなと思った。タイトルがどう繋がるんだろうと思ってたけど、意外と『そのまま』だった。章タイトルも作中の誰かのセリフそのまま。
そして、『自分と違う世界とどう関わるか』を描いていく。クラスメイトとの関りでゆっくりとアズと唯人が変わっていく姿は応援したくもなった。
ごちそうさまでした。
