「ウラミズモ奴隷選挙 作:笙野頼子」を読んでみた。
一応、物語っぽいものがある。
女神様がウラミズモという国に入り、元歴史民俗博物館から夫の矢尻を取り返す……というのが大まかな筋。あくまで物語部分としては。
でも、作品の筋はそこにない。ウラミズモとはどんな国で「にっほん」との関係はどうなっていてどんな苦労があって、歴史民俗博物館がどう変わって、今はどんなものが展示されているのかということがずらずらと書いてある。
正直、読むだけで疲れる。なぜなら、繋がりが見えず『たぶんこの辺りの話か?』という推測と仮説をいくつも置きながら読む羽目になるから。
女性差別とTPPへの怒りはわかるのだけど、説明が中途半端でよくわからないまま作品が進んでいく。怒りはわかるけれど、怒りの理由はよくわからない。
女性差別と女性蔑視の酷さは男性差別と男性蔑視へと転換して書かれてるし、TPPに至っては説明が見えないまま『そんなものにハンコを押しちゃダメだ』という怒りだけが延々と書かれている。どの点に対して怒っているのか。何が許せないのか。が見えないまま、『TPPを批准すると、こんな悪いことが起きる』というネット上でよく見かけた言説だけが飛び交い、さらに『で?だから?』という相手を煽る言葉で文章が終わる。
……私の感想も『で?だから?』で終わらせたい衝動に駆られたが、それは私の言葉ではないので仕舞っておく。
この作品は『読めない』ではなくて、意味不明の怒りと気持ち悪いものだけが続いて『読むのがツラい』。言いたいことはわかるけれど、この形で読むのはザラザラした岩を押し付けられてる感じがして不快だ。
でも、笙野頼子の作品はそういうものだと思って読み進める。私には『読めない』。この言葉のリズムも私には合わない。ただ、それだけ。
ごちそうさまでした。
