「アンパンマンの遺書 著:やなせたかし」を読んでみた。
やなせたかし先生の人生が丸ごと詰まってた。アンパンマンが出来るまでの話が長すぎる。大器晩成の人生が書かれてる。そして、いろんな人と出会って、いろんな才能を少しずつ開かせていく様が書いてある。人の事を「あの人のこんなところがすごい」と言えるのも才能なんだよな。……本にするときにわざわざ妬みを書かないのはわかるけど、それにしても有名な人たちと出会いながら、ひょうひょうとしたやり取りで関われるのすごいなと思う。
なんていうか、『人タラシ』な気がするんだよな。これだけいろんな人から「これやらない?」と声をかけられるのも才能だよね。
同時に時代の変化も感じる。戦前と戦後の空気感は本当にガラリと変わったんだろうなぁ。平成間近に生まれた身としては、戦前なんて本の中でしか出会うことが出来ないよと思ってしまう。なので、有名人なのだろうなという事はわかるけど、出てくる人物の大半がよくわからなかった。手塚治虫はわかるけど、それ以外の漫画家さんは聞いたことあるような??みたいな曖昧な場所にいるか、全く知らないかのどちらか。女優さんや俳優さんも同じく。
それでもざっくりとした時代の流れも感じながら読むことが出来るのは良かった。
アンパンマンが『売れない』と言われて、あまり良い位置にはいなかったのに売れたというのも面白い。……子ども(3~5歳)の私はアンパンマンを良いとは思えなかったんだよなぁ。今はすごく『狙って』いるのがわかる。子供向けに変わっていったのを見てる身としては、商業化ってすごいという下種な感想しかない。
子どもは純粋だと言いながら、アンパンマンを変化させていったことは特に何も思わないのだから、子供たちは『純粋だからアンパンマンが好き』だったわけじゃなくて、『丸くてコロコロしたものが動く』ことに反応していただけと思っていたのでは?と思う。別にアンパンマンでなくてもよかったのでは?と身も蓋もない事を考えてしまう。
読んでいて思うのはやなせさんは『カッコつけたい人』だったのだろうから、かっこよくないことはどの本にも載っていないんだろうなという事。
嘘ではないけど、本当とは少し違う……そういう部分は誰にでもあるのだろうけど、なんていうか所々の文章が急に変わって『カッコつける』感じはうんざりしてしまった。ただ、それも『やなせたかしらしさ』だったのだろうなとも思う。
そして、やなせさんは医者のおじに育てられているんだから、中流の中でも上流に近い場所にいると思うんだよな。でも、人間誰しも自分の位置なんて把握できないよな。階層が違うと出会うことも目にすることもない(目に入らない)人たちもいるから。
貧乏だったと書いてあるけど、本当に貧乏(食うに困る)状態だったのかは疑問。食うに困らないけど、『子どもの時のような裕福な暮らしをすることはできなかった』という意味だと思って読み進めた。
こういう本って少し残酷だな。ごちそうさまでした。
