やなせたかし おとうとものがたり 単行本 – 2014/9/1 やなせ たかし (著)
「やなせたかし おとうとものがたり 著:やなせたかし」を読んでみた。
やなせさんと弟に関する詩集。エッセイのような詩のような。ほんわかした記憶と悲しい記憶が混ざってる感じ。
上半分がイラストで下半分が文字。やなせさんのイラストも素敵。
幼いころに父親が亡くなり、母親は再婚して、弟は伯父夫婦の養子に、やなせさんも伯父夫婦の家で暮らしたけれど、弟とは立場が違っていたということが書かれていた。
この時代は養子はそこまで珍しくはないらしいので、弟が養子になったのもやなせさんが裕福な伯父夫婦の元で暮らしてるのも、不幸とかそういうのでもないらしい。
母親も子供連れでは再婚できなかっただろうし、女は結婚して男がいないと生きていけない時代だから母親が悪いというわけでもない。そういう時代。
そして、戦争で弟は死んでしまう。やなせさんは生き残った。
この詩のようなエッセイのようなものは、『弟へのレクイエムとして書いたもの』48-49pと、最後の『僕と弟』の文章の中に書いてあった。他の誰かに見せる予定はなかったと。それが勧められて出版する流れになったのだと。出版にこぎつけた人ありがとうな気分になった。
『過ぎてしまえば人生も夢と同じだ。どこまでが夢で、どこまでが現実なのかわかりにくい。』53p
長く生きてる人の言葉は重い。過去になればなるほど、記憶は美化され現実から離れてしまう。つらい記憶は都合よく消えて行く。もしくは、繰り返し襲ってきて『固定化された悪夢』になる場合もある。良くも悪くも現実を『記憶し続ける』のは無理で夢と現実の間を確認しながら進むしかない。
読めてよかった。ごちそうさまでした。