編集

「日本一醜い親への手紙」を読んで

2024/12/26

日本一醜い親への手紙 – 1997/10/1 CreateMedia (編集)
日本一醜い親への手紙

「日本一醜い親への手紙 編:Create Media」を読んでみた。

思っていたよりも普通……と思ってしまった。児童虐待防止系の本を読んでるとこういう話は平気で入ってくる。性的虐待。暴力。腐ったものを食べさせる。フライパンで子供を焼く。……いろいろ読み過ぎて、変な耐性がついてしまったらしい。

百通の手紙の本。親への恨み。恨み切れない恨み。愛しきれない愛情。

38番目の『「問題のない子」と呼ばれて』が一番、気になった。従順な子。親の言いつけ通りの子ども。「メアリー・ベル事件」でメアリーを手伝ったノーマのようになっていたかもしれないと書いてある。
そこまで抑え込まれる自我ってきついだろうな。私は見た目従順そうに見えるし、ある程度までは大人しくニコニコしたがうけど、あまりにも逸脱し過ぎたら逃亡する。そんなのだから、集団活動が苦手だし、集団登校すらダメで班長だったのにいつも登校班から遅れて登校してた。班長になって先頭を歩きたくなかったのよね。だったら、一人で遅刻した方がマシっていう中途半端な従順さと反発を持ってた。

一番怖いのは分かりやすい虐待ではなくて、こういう『問題のない子』
死ぬまで従順でいると書いてあるけど、認知症になったりしたらそれまでの怒りや悲しみが爆発したりしそう。そして、無関係な人に怒りを吐き出す。もしくは、無意識で少しずつ子供に吐き出してる可能性もある。

手紙を読んでいて不思議だったのは、『子供がいて幸せです』という人がチラホラいた事。
親を憎んでいても、その血を絶やそうとは思ってないのかなとか、血を絶やすよりも『大切な人と深い絆を作りたい』と思ったのか……と色々考えてしまった。

私はこんな血を繋げたいとは思わないタイプだから。
子供に同じことをしそうだし、自分が親のようになったときのおぞましさに耐えられないし、何よりこんな世界に生み出される子供が可哀そうって思っちゃうから。でも、中絶は悪だとも思ってるから、たぶん間違って出来てしまってたら産んでただろう。ただ育てることはしないって決めてた。


最後には選考委員を務めた人たちの言葉もあったけど……。小説家の言葉は要らなかったような気がしてしまった。これ、何で書いた?と思ってしまった。
臨床心理士さんの言葉は『ユーモア』という言葉に引っかかった。訳すと、「おかしみ」という意味になるらしい。確かに他人から見たらおもしろくも感じるだろうし、冷静になってみれば『滑稽』に見えることもあると思う。でも、それらを振り切って書かれた手紙の束を前にして、それが言えるのか?という気持ちにもなる。結局は外から見た『面白さ』を目的に本が書かれたのではないのだろうか。

さらに企画者の言葉の中に『八歳と十歳の子に「ママなんてだいきらい」と書かせた手紙を、自分自身の親に対する不満を書いた手紙と同封して送ってくれた母親もいた。』とあった。
……へ?? 親への恨みの手紙募集で虐待する親がいるの?と、初耳な虐待にびっくりしてしまった。いや。どんな親だ。子供に『自分を嫌いだと書け』って書かせる親って。怖いよ。それこそ、『日本一醜い親への手紙』な気がしてしまった。

という事はこの企画本は『子供を虐待する企画』にもなったわけだけど……主催の人は気が付いてるのかなと思ってしまう。

子供にわざわざ『親を嫌いだ』と書かせて投稿させるのは虐待。投稿しなくてもだけど。子供にわざと『親を好きだ』と書かせるのもどうかと思うけど、それ以上に『嫌いだ』と書かせるのは酷すぎる。少なくとも小学生には書かせるなと思う。仮に『子供が自由に書いた結果』だったとしても、それ本人に見せようとするわけないよね? 親が勝手に送ったの?その場合も親の行動がおかしすぎる。

一番醜いのは『この企画本』という事を企画者自ら明かしてるの闇が深すぎるな。

でも、二冊目も読む。


『日本一醜い親への手紙』