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WEB小説「マサカリ」「アナグラム」を読んで

2024/09/17


WEB小説「ムカサリ~オナカマ探偵漆山紲の怪異録~ 作:雨愁軒経」
これを読み終えた。

で、これ「アナグラム 作:七海美桜」
を思い出してしまった。

どちらもご当地もの。
ムサカリは山形。
アナグラムは大阪。


どちらも刑事もの。事件(死体)などの若干グロイ描写があるけど、それさえ平気ならそれなりに楽しめると思う。特にムサカリの方は……死体よりも戦闘で肉体が…ごにょごにょになるので、そういうのが無理な人は注意。


ご当地ものなだけあって、地元の描写がたぶんすごいんだろうなぁというのは伝わってくる。私はどちらもよく知らないので、『わからないけど、描写が細かくてリアルだな』という程度にしかわからない。

面白いのだけど、どちらも個人的には『いまいち』と思ってしまう。いや。面白いのよ。面白いと思えるポイントは押さえてあるのもわかるのだけど、なにか『足りない』

全部が平均点以上で『それなりのレベル』なのだけど、特出した何かが見いだせないというか。

アナグラムは事件の解き方が丁寧で、読んでて面白かったけど……それが『実は主人公の過去と、事件の黒幕とのアレコレ』が深まっていくごとに、つまんないと思ってしまった。あまりにも黒幕がサイコパス過ぎて、理解が出来なかったせいだけど。


ムサカリの方は……寄り道がないっていうか。一本道をただ真っすぐ行くだけの話を読まされている感じがしてしまって、三章めには苦痛になってしまった。三章あるけど、どれも『我が身を犠牲にして、女を守る男の話』
最後の三章にいたっては、男は死んで女たちがあれこれ動いてるのに、最後に男が全部見せ場をかっさらってくんだよね。そこまで動いてたキャラたち、使い捨てかよって思ってしまう。

あと、怪異や伝承、歴史の話をいろいろと突っ込んでるけど頭が追い付かなくて『どれが必要な話』なのかさっぱりわからない。

だから、「なんかしらんけど、伝承によって悪がよみがえった」程度にしか理解してない。そして、その程度の理解でどうにかなる。そこに付随するアレコレは『わかる人だけが楽しめばいいオマケ』なのかなと。


敵を倒すのも理屈というより、力技すぎて……解明していく意味はどこにあった?と思ってしまう。

1章めはまだ丁寧に説明してたけど、3章めにもなると説明も複雑で意味が分からない。でも、ゴールは『力技でねじ伏せる』なので、理解するのをやめてしまった。小野小町の何がどうなってこうなってるのか、山……なんとかって、何?どっから来た? という謎しかないけど、理解できなかったので、理解するのをやめた。大雑把な物語が分かればいいやと言う程度にしか読んでない。


三章めの目的は『死んだ男に再び会う』というだけの物語だから、それ以外は全部オマケなんだよな……セリフも臭すぎて、こういう臭いキャラだったかなと思ってしまった。

地元の伝承をこれでもかと詰め込んだのはわかるけど、詰め込み過ぎててそれを知らない人間にはもう『理解できないレベル』だと思うのだけど。いや。私の頭が足りないだけ? みんな、これ理解できてるの?
人の名前も地元の名前も、そもそも『読めない』んだけど……わざわざフリガナや説明が入っているもの以外は。説明が入ってても、覚えきれないから『読めない』
特に地名って『誰でも読める』と思いがちだけど、地名ほど読めないものはないので一度だけでもいいからフリガナ入れてと思う。

これ、一番困ったのはキャラたちの名前なんだよね。
最初だけフリガナふってあるけど、『見慣れない』『読みづらい』名前なので、私は覚えるのをやめた。『紲』は「せかいくん」でいいやと思って読んでたし、『楪』は「ちょう」でいいかなと。適当な読みで流してた。キャラの名前って『それが同一人物』だとわかればいいので、読めない時は読みたい名前で読んでる。
三章は『ユズ』という呼びやすい名前が出てきたので「ゆず」読みにしてた。
「英」は「ハナ」と最初に出てきてたので、それで。


キャラの名前はなるべく『ページ最初』だけでもフリガナを入れる様にした方がいいなと思ってる。そして、そういう作者さんに出会うと『読者視線を持っている神様』と思ってしまう。
そうしないと、読者は勝手な名前をキャラに付けるんだよという事を作者側も考えておいた方がいいのでは……と思うけど。『漢字を読めない読者に用はない』というなら、仕方ないなと思う。私はいつもの通り、『勝手にキャラに名前を付けて読む』だけ。



でも、ご当地ネタは面白かったので、他の地域の物語も読んでみたいなと思う。
そういうWEB小説ないかな。刑事ものでなくてもいいから。方言も入ってると面白そう。