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「ラブレターを書こう」を読んで

2024/05/16

ラブレターを書こう (小学生のための文章レッスン) 単行本
– 2012/10/12 灰島 かり (著), 藤原 ヒロコ (イラスト)

ラブレターを書こう (小学生のための文章レッスン)

「小学生のための文章レッスン ラブレターを書こう 作:灰島かり 絵:藤原ヒロコ」を読んで


タイトルが素敵すぎる。
『ラブレターを書こう』……書きたい。いや。ラブレターなんて出す相手はいないけどさ。『好き』って気持ちが好き。

中身は、子供から手紙の相談が来て、子供が書いた手紙に『こうしたらいいよ』というアドバイスを与えて、書き直すという形。
小説を読んでるみたいで楽しかった。

最初は『バレンタインのカード』
「すき」って言わないで、「すき」の気持ちを伝えるというのも素敵だ。キュンキュンしてしまう。
相手の良いところを書いて自分の良いところを少しだけ入れて、相手の気持ちを想像する。言われるとなるほどなぁと思うけど、この辺りの微妙なバランス感覚って、難しいよね。

次は『おともだちになりましょう』
おお。難易度がぐっと上がる。カードのメッセージは「好きです」がほんのり伝わるといいだったけど、お友達になると『一緒に行動したい』という気持ちも含めて伝えるので、重くなる可能性がある。ラブレターと同じように相手の良いところと、自分の良いところを少しだけ書くのは同じだし、質問を入れるのも同じ……でも、『バレンタインのカード』と違ってお返事を期待する点が違う。

次のお話は『困ったお手紙のお返事』
「こわいな」と思ってる相手から、仲良くなりたいというお手紙をもらった返事を書くというちょっと変化球なものだった。
「こわい」からあまり、仲良くしたくないけど、無下にも出来ない……という話を根気よく聞いて一つづつ問題解決していくのいいな。って、これ、お手紙関係なくてカウンセリングでは??
お返事には「仲良くしたくない」とわざわざ書く必要はないとある。これ、子どもの頃はうっかり言ってしまって『こじらせる』みたいなのアルアルな気がする。

次は『ファンレター』
スポーツ選手へのファンレターだけど、他にもいろいろ応用ができそう。
相手を褒めて、自分の良いところを少し入れて……というのはここまでと一緒。もう一つ『ここが参考になっていて、自分に取り入れてるよ』という事を書いてまとめている。なるほど、そういうファンレターは確かに惚れそうと思ってしまった。


次は最後のアドバイス。『おかあさんへの感謝の手紙』
これはただ『ありがとう』でいいんだよというだけで、アドバイスがない。『書くことが苦手な子にはあれこれ言わない。気持ちのままの文章でいい』という視点が素敵だ。
ここまでも、基本的には『ここが素敵』といってから、『もっと素敵になるためには』という形でアドバイスが出てきてた。その形式の物語が素敵すぎる。否定しない。ダメなのではなくて『もっと素敵に』がポイントなんだよね。

この本自体が『文章を書く人たちへのラブレター』だよね。すごく好き。

アドバイスはここまでで、最後の手紙は『自分はこんな手紙をもらって嬉しかったから、こうしている』という話。これも、すごく素敵な話だった。

なにこれ、惚れそう。惚れた。タイトルだけじゃなくて、中身も『ラブレター』すぎる。ラブレター書きたい。書く相手いないのに。あれ。もしかして、この感想文が本へのラブレターになってる?


すごく素敵な本だった。
ありがとうです。


『ラブレターを書こう』