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絵本「えんとつ町のプペル」を読んで

2024/03/10

えんとつ町のプペル ハードカバー
– 2016/10/21 にしの あきひろ (著)

えんとつ町のプペル

「えんとつ町のプペル 作:にしのあきひろ」を読んでみた。

映画は見ていないけど、数年前に話題になっていた絵本。

※ネタバレします。

あらすじは
えんとつ町では星が見えない。そこに落ちた心臓にゴミがまとわりつき、ゴミ人間になり、プペルと名付けられる。
名付けたのはルビッチというえんとつ掃除の子ども。父親は煙の向こうに星があると言った事を信じている。父親の写真が入ったペンダントを失くしたと聞き、プペルはひっそりと探す。
しかし、町の人間からは嫌われ、ルビッチも暴力に屈してプペルから離れる。
プペルはルビッチに星を見せようと、風船で船を持ち上げルビッチに星を見せる。

という感じ。
まとまりもよく、伏線も張られていていいなと思う。けど、絵本を巡るあれこれの問題も目にしてしまっているので、物語とは別の部分でモヤっとしてしまう。


モヤっとは一旦脇に置いて。
絵本として見ても、『絵』が綺麗。絵描きさんたちすごい。
子供向けの絵本としても、読みやすいとは思う。


ただ、主人公のプペルは常に受け身に見えてしまう。もちろん、それがなぜかは最後に『実はルビッチの父親の魂が返ってきたから』と説明があるのだけど。

主人公が目的を持って動く物語ではないし、町の人たちは結局『意地悪』なままだし、プペルとルビッチだけの物語で終わってるこじんまり感がモヤっとはする。
せっかくイラストが綺麗なのに、綺麗=星の絵みたいな……感じになっている。

ゴミ人間も正直、絵が綺麗すぎて『ゴミ』には見えない。ごみを集めた絵というのは分かるけど、『綺麗な絵』なんだよ。くさいくさいと文字では書いてあるけど、絵はそんなことはない。光が散っていてゴミなのに光沢があって美しい……と思う。

絵が綺麗すぎて、文章と合っていないのが一番の違和感かなと。

物語も私にとっては『いいところを切り張りしてみました』という感じに見えて、好きではないのだけど。

イラスト集としてなら見れた。物語の文章を削った方がいい……と身も蓋もない事を考えてしまう。つまり、私には合わなかったです。

『えんとつ町のプペル』