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「きみの人生はきみのもの」を読んで

2024/03/09

きみの人生はきみのもの:
子どもが知っておきたい「権利」の話
– 2023/1/27 谷口 真由美 (著), 荻上 チキ (著)

きみの人生はきみのもの: 子どもが知っておきたい「権利」の話

「きみの人生はきみのもの 著:谷口真由美 荻上チキ」を読んで
権利の本3冊目。これも「ぎゃくたいってなあに?」と同じく、子供視線の本。



『はじめに』には権利について書かれてる。
『権利を持っているというのは大きく分けて次の二つのことができることを意味します。
1 自分で何かを自由に行っていいこと
2 他人に何かしてもらうよう要求できること』

「ぎゃくたいってなあに?」は権利についてだけだったけど、この本はそれで何ができるかまで書かれている。
子どもたちの日常のこまごまとしたことについてを権利を絡めてアドバイスしてくれる本。

1 自由に意見を言ったり、社会を変えたりする権利
校則や親のいう事は聞くべきか、学校に行かなきゃいけないのか……という質問に一つづつ答えてある。学校に行かなくてもいいけど、勉強はした方がいいよというアドバイスはいいなと思う。ただ、勉強が『学校のテストの点数のためのみの学習』になってると、違うかなと思う時もある……けど、現状はテストの点数優先の学習なので、そこに疑問を持つのはよろしくないのだろうけど。
子どもの権利のあれこれが書いてあるし『大人にはこう伝えると良いよ』というアドバイスもしっかりと書いてある。子供が大人に伝える言葉を持つのは大切だなと思う。

2 心と体を守る権利
主に虐待案件のような質問や事例が書いてある。
最後の『恋人ができるまでに知っておきたいこと』には性的同意なしでは触れないし、性的な事もしてはいけない事が書かれてある。断ってもいい……というのを知っておくの大切。さらに恋人からの暴力や束縛も、「好きだから」で許してはいけないことが書いてある。
こういうの絶対必要な知識だと思う。

3 お金を守る・お金をもらえる権利
お金がなくても生きていける事、働くまでに知っておきたいことも書かれていて、『大人になっても使える知識』も含まれている。こういうの大人にも必要な知識なんだよな……。
私もその知識欲しかった。何もなかったから、何が正しくて、何がおかしいのかすらわからなかった。でも、大人になって働いたら、『ほとんどブラック企業だと思って間違いがない』と思えるくらい、今思うとあれもこれもグレーかアウトのどれかだなと思えることばかりだった。知識がなかった当時は全く気が付かなかった。

『おわりに』にはこうある。
「社会が、いま以上に子どもたちにとって生きやすくて、希望をもてるものに向かうように願ってやみません」

確かにそう思うけど、変えるために必要なものが足りなさすぎる。
大人に相談を……とはいうけど、本の中にも『諦めずに助けてくれる大人を探して』と書いてあると、その運しだいな社会がそもそも問題なのでという何とも言えない気持ちになる。


ぎゃくたいってなあに?」と同じく『そもそも大人たちが権利を知らない』とこの本にも書いてあるけど、まさしくそれ。
大人は知らない。
子どもだけが知っていても「生意気なガキだな」で一蹴されることもある。

もっと社会が『人権』について知って、大人がそのような基本的な知識を『学び続けることができる場所』があるといいのにな……とは思う。でも、それがどんな形なのかそもそも、現状存在してるけど周知がされてないだけなのかも分からない。日本あるあるの『システム・制度』は存在してるけど、周知や価値観の変容は促さず同調圧力で『制度・システムを使わせない』という形のものなのか。育児休業を調べた時、世界でも一番のいい制度があるらしいけど周知がされず価値観の変容も促されていないので、結局使えない代物と化しているというなぞ制度だった。そういうのが色々ありそう。


ということで、この本も『大人が読め』という本。

大人が読めという本リストを作ろうかと考える。

『きみの人生はきみのもの』