恐怖のむかし遊び キレイになりたい (講談社青い鳥文庫)
– 2019/2/14 にかいどう 青 (著), モゲラッタ (著)
「恐怖のむかし遊び 作:にかいどう青 絵:モゲラッタ」を読んで
図書館で思わず借りてしまった本。夏は怖い話が読みたくなる。
ドキドキ出来て面白かったけど、こじつけ感があるのも否めない。もう少し単純で分かりやすい「怖い話」がよかった。「キレイになりたい」と「むかし遊び」というテーマを無理やりくっつけたせいかもしれない。
四つの物語が最後に繋がっていく……のだけど、この繋がり方が無理やりな感じがした。
・笑い女
主人公「咲笑」が綺麗になって、「野原くん」と付き合う話。
最初の話で登場人物が出そろって、伏線もあちこちに張られている。
鏡の中の顔を弄ると、現実の顔も変わっていくという力で主人公は顔を変えていく。『恐怖』の物語なので、最後は鏡の中の自分と入れ替わる。
・いナいなイタいたい。
二人称『あなた』で物語が進むので不思議な感じがする。
「カイト」と恋人の話……かと思えば、ストーカーの話だった。二人称がこんな風に使えるんだと思ってしまった。
「影送り」の遊びもいい感じにマッチしている。
一番ゾクゾクしたし、驚いた。
・笑い男
最初の物語にも出てきた「野原くん」の視点で書かれた物語。
世界中の人々の顔が崩れて見える中、咲笑だけは綺麗な人の顔に見えるので付き合った。視点が反転すると、驚きの理由が出てくるなと思った。最後までほのぼのデートなのかと思えば……怪しい感じで終わった。
・痛いナ居たイない。
「咲笑」より綺麗な妹の「美咲」の物語。
全ての物語のまとめ……のようになっているけど、話があれもこれも引き込み過ぎていて疲れた。
美咲は学校で『とうりゃんせ』を使っていじめを繰り返す。いじめっ子は行方不明に。次は咲笑が綺麗になっていく事に不満で恋人「野原くん」に忠告をするが、しばらくすると野原くんも行方不明に。
両親の離婚で引っ越しをすることになり、新しい学校でもうまくやって『とおりゃんせ』でのいじめを繰り返す。しかし、姉と再会した時に姉の顔が崩れ叫んだ瞬間をクラスメイトに見られ美咲がいじめの対象になる。
中学に入っていじめは止み、「カイト」に優しくされたことがきっかけで彼のストーカーになる。しかし、美咲もまた行方不明になってしまう。
最後の物語が、いろいろ詰め込み過ぎてておかしく感じる。「咲笑」と「野原くん」の話までは分かる。ストーカー視点の物語も面白かった。それ、繋げる必要なかったのではと、思ってしまう。結局「みんな行方不明になった話」という、怖くもなんともない話に落ち着いてしまう。
咲笑が最初に「鏡の中の世界」に置き去りにされたように、行方不明の彼らも鏡の中に引きずり込まれたのだろうけど、『書かない怖さ』の方が私は好き。でも、子供向けならはっきり書いた方がいいのだろうか。
タイトルから分かっていたけど、
二人称の『いナいなイタいたい。』が一番キャラたちから距離があって、何が起こるのか分からなくてドキドキした。
子供向けの怖さにはちょうどいい感じかなと思う。