期待値ゼロ。
「竜とそばかすの姫」アニメ映画。 細田守監督作品を見てみた。
この監督の作るアニメ、回数を重ねる度に意味が分からないと思ってしまう。
前回の……未来のミライもだけど。
とりあえず、良い印象がないという前提で読んで下さい。
『竜とそばかすの姫』がとても好きという人はこの先お勧めしません。
ネタバレアリ。
まず、歌のシーンが多すぎ。歌のシーンを抜いても大抵のシーンがブツ切りすぎて意味が分からない。
疑問一
主人公すずは、仮想空間Uに初めてログインして『歌った』のではなかったのか?
なのに、その歌がいきなりバズッている。……ここまでは、ないとは言えないし物語上の都合というものも分かる。
しかし、いつの間にか友人ヒロちゃんが『プロデュース』している事になっている。え?それ、どこでそんな話になってるの?最初から?いや。最初はただ『歌った』はずだよね。その後のバズる前の歌の動画を弄ったという事なのだろうか?
それにしては、音源だとかアバターの指示だとかがっつりしてるっぽい台詞が入っていて、ますます謎だ。
疑問二
なぜ、ライブをぶち壊しにした竜を好意的に受け止められる?
「理由があるんだよ」と言ってたような気がしたが、そんな『理由』を感じさせる何かを竜から感じるというシーンがあったのか?見逃したのか?と思ったが、どう見ても理由っぽいシーンがわからない。
これは少女漫画あるあるの『意味もないけど好きになる』というものか。いきなりそんなのを入れられても意味が分からない。
さらに言えば、いきなり美女と野獣シーンをぶち込まれても……という気分になった。確かに何かのインタビュー(だったか?)で、監督が美女と野獣を意識したというのは見かけた気がしたが、まさかディズニーシーンそのままぶち込んでいるとは思わなかった。
疑問三
Uにはなぜ管理者がいないのか?
アカウントや登録という言葉から察するに『ネット上のサービス』のはずなら、管理者権限があるはずでは?
管理者がほぼ存在しない無法地帯という設定だとしても、『データ破壊』を無視しているサービスはそもそも人が集まらない気がする。もしくは、そのような事も含めて楽しめるアングラな人間たちのたまり場になるハズ。インターネット上の設定としても、そのようなネットサービスが大衆に受け入れられるはずがないと思う。
竜の人気は何なのか?
データを壊すヤバい奴という情報しか見てないような。ただ『破壊者がかっこいい』という反社会的思考の人たちがもてはやしているのか?とも思うが、そうでもなさそうなシーンが紛れてるの謎。これが、政府や国、もしくは絶対に壊せないと言われていたデータを壊したすごい人というような称号のようなものがあれば、人気は分かるのだが……何が良いのかさっぱり分からない。
ネット空間に『鍵』をかける事をしないのは何故か?
そもそも、このインターネット世界には『特定アカウントしかログインできない空間』のようなものはないのだろうか。ライブシーンもだが、平気で入り込んできたのは誰でも入れる場所なのかハッキング、もしくはデータ破壊で無理やり押し入ったという事なのだろうか?という謎もある。
城へ入り込めるのも謎である。『鍵アカウント』にしておけば入れないのでは? すずが平気で入っていったのを見ても公開空間だったのだろうけど。
同じ事が『虐待動画』にも言える。なぜ、あれは公開されていたのか? 誰かに通報させるため? 虐待の記録ついで?
全てのネット空間での出来事がなぜ全体公開で行われていたのか、わからない。
なぜ顔を晒す必要があったのか?
現実の竜に信用してもらうためという事らしいが、なぜそれが『全体公開で顔を晒す必要があるのか』が分からない。
見てほしいのは『動画の子供たち』だけなのである。Uで顔を晒せば、全アカウントがそれを強制的に閲覧させられるという機能でもない限り、まず『相手がログインしているか』という確認が必要なのでは? そのシーンは省いているのか?
そうではなくても『鍵付きスペース』を作ってそこでひっそり……などと言う機能はないのだろうか? ベルであれば信用されているのだろうから、竜を誘ってそこでというのでも十分なはずである。
暴力通報をなぜ児相(だろうと思う)にしたのか?
明らかな暴力動画という証拠があるのだから、警察検案のはずである。なぜ児相に通報したのかわからない。
なぜ、すずは一人で東京まで行ったのか?
もうここまで来ると、突っ込むのも面倒である。恐らく上記の謎も誰かがすでに突っ込んでいるだろう。
普通の大人ならば、未成年者……しかも女の子を一人で東京になどやらない。おばちゃんたちもだが、父親もおかしい。
友人たちが応援するのは子供なのでそこまで考えが至らないと思えば、そこまで不思議ではない。せめて、大人には言わずにひっそりと一人で東京にいき、帰ってきて警察がいて大騒ぎになっていた……というのが妥当ではないだろうか。
年齢は違うがトトロのメイちゃんがそれである。一人で母親の病院に行こうとして大騒ぎになっている。あの時代と同じ価値観のままという事だろうか。
ただ、全ての謎を一言で片づける事も出来る。
『そういう物語だからだ』
そう言われてしまうと、何とも言えないが……
鍵アカウントもしくは、鍵付き空間が存在しないのはなぜか。
虐待されていた子供が外に出ていたのはなぜか。虐待は暴力だけで監禁ではないから? それにしても、あの映像はパソコンで流していたのか、スマホなのか。虐待されているのに、そのような機器が与えられているのは何故なのか。考えれば考えるほど、謎である。『お前なんかに価値はない』ならば、その価値のない存在に通信機器を与えるだろうか?
それとも、父親の機器を勝手に使ったという事なのだろうか?それだと、バレるのでは?
考えるときりがない。
というか、見れば見るほど『謎』しかでてこない上に物語は無駄と思えるシーンが満載である。歌のシーンはギリギリそういうものだとしても、サブキャラ達のどうでもよさそうなやり取りが意味が分からない。そして、どれも『どこかで見たようなシーン』のつぎはぎにしか見えない。
美女と野獣シーンしかり、ベルだとばれるシーンしかり。
他にも友人の告白シーンもどこかで見たようなと思うが、どこでだったか思い出せない。気のせいだろうか?
とにかく、物語に関係がないものと物語に関係あるものを頭の中で整理しながら、毎度毎度湧き出る疑問を無理やり飲み込みながら見続けるのは……苦痛でしかなかった。
本当にキリがない。もう、やめておきます。