猫を棄てる 父親について語るとき
– 2020/4/23 村上 春樹 (著), 高 妍 (イラスト)
「猫を棄てる 父親について語る時 著:村上春樹 絵:高妍」を読んでみた。
村上春樹が苦手な人はエッセイが良いと書いてあったのでこの本を選んでみた。
父親との話だが、戦争従軍の記録のような事も書かれている。記録と言っても、どこの部隊に所属してどこに行ったという感じの事。父親はどんな風に生きてきたかという事。父親と猫を棄てに行った事。母親の事が少し。
エッセイなので小説とはかなり違うが、挟まれるイラストが文字の雰囲気をさらに高めていて何となく郷愁を感じさせる。
最後の方でこれを書いた理由が、長く父親と確執があったためだと分かる。父親と息子とはそのようなものなのだろうか? よく分からない。
エッセイ自体は大半が戦争の話だったような気がする。そこに差し込まれる他のこまごまとしたシーン。
サクサクと読み終えた本。
エロもグロもない。ちょっとほのぼの系のいい話だった。
ただ、ラストが少し『いい子』すぎるとも感じる。
結局は『村上春樹の世界』の『夢』を混ぜ込んでくる。というのにはちょっとウンザリする。
しかし最後を除けば、村上春樹の家族観というものはこんな感じと掴める。
そういえば、私が読んだ村上春樹作品には『家族』が出てきた印象がない。主人公は常に『一人』で、兄弟や親はあまり出てこなかったような。それも、このような家族観だったのだと分かれば、納得してしまいそうだなと思った。