ラストで君は「まさか! 」と言う 涙の宝石
– 2019/11/29 PHP研究所 (編集)
「ラストで君は「まさか!」と言う 【涙の宝石】」を読んでみた。
3分間ノンストップ ショートストーリーというサブタイトルの通り、サクッと読める短編集。【望みの果て】と同じシリーズ。
望みの果てが最後に『おお』と思えたのに対して、【涙の宝石】は『ほのぼの』とした話が多かった。ラストでしっかりとオチはついているけど、お話として人の優しさ中心。
ホラー系の話は皆無。
ほのぼのの中でもちょっと異色だった数作。
『告白のタイミング』
宇宙船で惑星脱出を5人でするけど、仲間の裏切りで1人だけ置き去りにされる。
仲良くない話はこの本の中では異色だなと思った。
『課金悪魔』
これは悪い事をして悪魔に願いをかなえてもらう話。
最終的に好きな相手を振り向かせようとするが、善行で天使を味方につけている女の子が好きな彼と付き合う事になる。
【悪い事】が子供らしくてかわいくて、ほのぼのしてしまう。
でも、やっぱり悪い事なので最終的に【良い事】は起きないという教訓付。
『魔女の願い』
魔女と呼ばれている女が実は戦争を止めていたというお話。
おとぎ話のような淡々とした文章で語られているのがよかった。好み。最終的に戦争になるオチだけど、こういう話好き。
【人が人を大事に思う気持ち】の種を植えて育てて戦争を食い止めているという設定がほのぼのしてしまう。
この三つが気になったお話。他にもたくさんの短編が入っているけど……ほのぼのしてしまうお話ではあるケド、私の好みとは少し違う。
【望みの果て】はラストの作品がいいなと思えたけど、【涙の宝石】はラストまでほのぼの。
代わりに『プロローグ』が付いていた。
プロローグは涙の宝石にぴったりのプロローグ。ちょっと詩的な部分が好き。
面白かったのです。ごちそうさまでした。