「ぼくの色、みつけた! 作:志津栄子 絵:末山りん」を読んでみた。
色覚障害の信太朗が自分の色を見つける物語。
最初はファンタジーな物語で始まったので、ファンタジーなのかなと思ったら、現実寄りの物語だった。登場人物はみんないい人。子どもたちも個性的で、大人たちにも悩みや苦労がある。
とてもいい話なのだけど、少し綺麗すぎてザラザラしてしまった。でも、押し付けがましくはない。主人公信太朗の悩みが等身大で共感しやすい。ぐいぐいと引き込まれてしまう。
友行の考えなしの言葉も物語を上手く引っ張っている。考えるよりも言葉が先に出てしまう子はいるし、子どもの頃はそこまで深く考えずに言葉が出てしまう時もある。そういう子供時代あるあるを友行が担ってるような気がする。
見え方が違うことで苦労する信太朗に担任の平林先生の対応は完ぺきに近い。一緒に悩みつつ考える。……ただ、今の学校教育にこんな時間の余裕があるのかとも思ってしまうが、大人の事情は脇に置いて読んだ。
さらに、平林先生は自分の弱さをちゃんと子供たちに見せる。一歩間違うと子供たちに『舐められる』ことにもなりかねないので、おそらくこれをやる先生は少ない。恐怖で支配した方が手っ取り早いし、子どもの事情をいちいち聞くよりも『ただ従わせる』だけの方が楽だ。でも、物語の平林先生はそれを選択しない。……若さゆえだろうなと思う私はよろしくない。平林先生の存在がファンタジーに近いが、それでも押し付ける物語よりは引っかかりなく読める。
そして、両親の存在。最初は過保護な母親とそれを見守る父親なのかなと思ったけれど、両親の存在が後半でかなり重要になってきて驚いた。もっと学校中心の物語なのかと思ってた。実は『家族の物語』だった。伏線があちこちに張り巡らされていて、読み進めるごとになるほどと思えるのは楽しかった。母方祖父母の存在感も光っていた。
最後までワクワクしながら読み終えた。
ごちそうさまでした。
