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絵本「窓をひろげて考えよう」を読んで

2024/03/10

窓をひろげて考えよう―体験!メディアリテラシー
– 2017/7/1 下村 健一 (著), 艸場 よしみ

窓をひろげて考えよう―体験!メディアリテラシー

「窓をひろげて考えよう 著:下村健一」を読んで

メディアリテラシーについて書かれている絵本。
窓から覗く仕掛けが楽しい。ワクワク。

最初のキーワードは「まだわからないよね?」
どのニュースも『まだわからないよね?』という意識で読んでいこうという形になってる。ワクワク。

1 人里にクマが出た!
☆別の立場に立って考えてみる。
クマから見ると、クマ里に人が出たことになる。
いろんなシーンに当てはまりそう。

2 ケンカ相手の言い分は……
☆伝える順番を考える。
伝える順番で印象が変わる。基本的に人は後から出た情報の方が印象に残りやすい。

3 動物園からワニが逃げた!
☆情報源を確かめる。
これは私も時々やる。気になるニュースと思ってリツイートした後に誤情報だと分かって取り消したり、実は巧妙な広告だと分かったり。最初の情報源だけに飛びついてはいけないのはわかっていても、誰でもやりがちな気がする。

4 両国の関係、ちょっと心配……
☆別の瞬間だったらと考える。
この本にあるのは、首相が他国の大統領と不仲に見えたけど数秒前の映像は握手をしているというもの。
こういうものの確認は動画がないと難しい上に、『切り取りでしかネット上にない』となると何が事実なのかもわからなくなる。正直、一個人では判断が本当に難しいと思う。

・ここまでのキーワード「他の見え方もないかな?」
・ここからのキーワード「隠れてるものはないかな?」

5 こわい病気がうつるかも!
☆選ばれてない部分があるかも。
本の中ではマスクシーンに見えたけど、範囲を広げるとマスクをしてる人は少ないというもの。都合のいい絵を切り取るのはよくあるけど、これも想像力だけではどうにもならない時がある。

6 地球温暖化がついに解決か!
☆ 目先の情報だけでなく、その先や前後の情報を見る。
本の中では温暖化のグラフが一時期だけ下がっているけど、さらに過去や先を見てみると一時的な低下という事が分かるグラフになっている。
こういうグラフや表は恣意的に持ち寄られることもある。これも他の情報と混ぜて考えるしかない。でも、人は数字に騙されやすいというのもあるので……これはもういろんな情報を取得してグラフや表の数値の外にあるものを読むしかなくなるんだろうな。

7 よく当たる宝くじ売り場
☆いい話だけではない。
本の中では「また出た一等」という宝くじ売り場の絵がある。この売り場は当たりやすいという印象を受けるけど、『買う人が多ければ当たる確率が高くなる』というだけの話。外れた人も大量にいる。
これ、広告でもよくある手法。いいことだけ言ってるけど、隅っこに小さく『個人差があります』みたいなのが書いてあったりする。いい話には裏があると思った方がいい。

8 犯人はコイツに決まってる!
☆みんなが言っているは、可能性を狭める。
最後はオウムの事件だと分かった。地下鉄の前に民家でサリンをまいてその家の人が犯人ではないかと疑われた事件。そうやって他の人が疑われてる間に、オウムは新たに地下鉄の事件を行った。本の中ではオウムとは明記していない。

この事件だけではなく『勝手にみんなで疑って、実は犯人は別だった』というものはいくつかある。誰かを犯人だと糾弾するのはとても怖いことなのだと思う。


ラストだけ事件を知ってるだけにリアルだ……と思ってしまった。

8つを知ってるだけでも少しだけ気を付けることができるのかなと思う。
窓……楽しかった。ワクワク。

楽しみながら子供と読むのもいいかもしれない。ネットでSNSをやる前に開いてみるのも悪くないと思う本。

『窓をひろげて考えよう』