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「思い出のマーニー 上」を読んで

2024/03/09

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)– 2003/7/16 ジョーン ロビンソン (著),
ペギー・フォートナム (イラスト),Joan G. Robinson (原名), 松野 正子 (翻訳)

思い出のマーニー〈上〉 (岩波少年文庫)

「思い出のマーニー 上 作:ジョーン・ロビンソン 訳:松野正子」を読んでみた。

本当は『ゲド戦記』の方を読もうと思っていたけど、こちらの方が短くて読みやすそうだったので先にこちらを読んでみた。

上巻だけの感想は「アニメとほぼ一緒」。アニメは日本が舞台だったけど、原作はイギリスが舞台という違いはあるけど、アンナとマーニーの名前は一緒。夏祭りシーンがアニメでは入っていたけど、原作はそれらはない。代わりに預けられた先のおじさんおばさんが『ビンゴやドミノゲームに行く』シーンがあったり、『あつけし草の酢漬け』を作るためにあつけし草を集めるシーンがある。

文化の違いが面白い。
アニメだと地域との関りがよくわからなかったけど、原作はおばさんたちが近所の家にゲームをしに行ったり、布をわけて貰ったり、あつけし草の酢漬けをおすそ分けしたり、ご近所さんがアンナが夜に海岸にいる事に気が付いて家まで連れて行ってくれたりと、地域のかかわりが深いと思わせるシーンが次々と出てくる。
だから、おばさんはご近所さんとは上手くやってほしいと思っているというのも書かれている。『ふとっちょぶた』と言って、相手を怒らせたりしないようにと。

マーニーとのやり取りも、アニメとほぼ一緒でアニメのシーンが頭に浮かんできた。『マーニーが唐突に出てくる』という事にアンナが戸惑うシーンもある。これ、アニメだと面白がっていたような記憶しかないので、原作は『戸惑い』なのかと思った。

最初、アンナはマーニーに『乞食』と思われていたというのも、原作ならでは……なのかなと。アニメだとこの辺りは規制に引っかかるのもあるだろうし、なかったような。
何回か『こじき』とマーニーがアンナをからかうシーンがあるのも目新しい。

「ふとっちょぶた」と呼ばれたサンドラは、アニメではそんなに意地悪ではなくアンナがいきなり怒り出した感じだった。けど、原作だとしっかりと意地悪な描写がされていてアンナが「ふとっちょぶた」と口にしたくなる気持ちも分かる。アンナの口調をまねたり、ひそひそ話をしたり、悪口を言ってないアンナに対して「(私の)悪口を言って」と言っている。
アニメだと信子(原作ではサンドラ)は「あんたが見えているように見えている」としか言ってなくて悪いようには見えないままに「ブタ」と言われている。アンナがどう見ても「嫌な子」になってるの、原作とは違い過ぎると思ってしまった。

他にもアニメは祭りに行くのを勧められていたりと周りがアンナにやたらと構うけど、原作は基本的にそんなに構われていない。子供であるアンナが好きに動いているのと同じように、大人も大人で好きに動いている感じで、『自由だな』と思ってしまった。

アニメを基に比べてしまうけど、実は私はこの作品はよくわかんないな……と思っている。アニメもだけど、原作も『好みではない』

原作上巻のラストは「ああ、可愛そうなマーニー! あたし、ほんとに、あなたがすきよ」というアンナの言葉が、以前マーニーがアンナに言った言葉だとアンナが気が付くところで終わった。

アンナが「マーニーがいない』事に気が付くのかなと思ったけど、これはたぶん「二人は気が合ってるね」という意味の気づきで、おかしいと思う意味ではなさそう。


あらすじ。
アンナは療養のために海辺の村のペグおばさんに預けられる。
ボートに乗せてくれるワンタメニーは、あまり話をしない。同じような年だというサンドラは意地悪で、思わずアンナは「ふとっちょぶた」と言ってしまう。
ペグおばさんとペグおじさんはアンナをきつく叱らないし、基本はアンナの自由にさせている。
マーニーと交流を深めながら、マーニーとアンナの過去や思いが少しずつ見えていく物語。

上巻だけだとこんな感じな気がする。

下巻に続く。

『思い出のマーニー〈上〉』