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絵本「イタイイタイ病のえほん」を読んで

2024/02/28

みよさんの たたかいとねがい
–2021/12/20 金澤敏子 (著), 生地京子 (イラスト)

(アマゾン取り扱いがなかったので、出版社の本の記事リンク
本の取り扱いを探して見たけど、おそらく少数だけの出版のようなので出会うことが難しいのかなと思う)と、書いたけど24/02に確認したらリンクが出てきたので張るのです。探し損ねただけ?


「イタイイタイ病のえほん みよさんのたたかいとねがい 文:金澤敏子 絵:生地京子」を読んでみた。
図書館で借りた6冊のうちの一冊。

四大公害病の一つ『イタイイタイ病』について書かれた絵本。

水の恵みを享受していた地域で起きた、水の汚染による病気『イタイイタイ病』
昔の水の綺麗さを語る物語から、理由も分からず骨が折れ、あちこちが痛みだす病気が広がる。
そして、人が亡くなっていく。

絵本は一応、物語になっていて『みよさん』という人の経験が書かれている。
病気になって、子供と離れて治療して、原因が分かって、裁判に勝ってというようなストーリーだ。
また、骨がもろくなるので、身長が三十センチも縮んだと書いてあった。
絵本の中の『みよさん』は66歳で亡くなっている。

絵本は『みよさん』の語りの部分は、富山弁で書かれている。文字で見ると微妙なニュアンスが違うような気がして読み辛い。


以前、新聞に書いてあったのは、あまりにも痛みが常時で骨折している事すら気が付かないという。
つまり、常時の痛みが骨折以上の痛みという事だ。想像も出来ないくらいの痛みが常にある。
『昔の事』と思っていたが、今もまだ苦しんでいる患者が実在している。
すでに高齢ということだが、『痛みを背負って生きる』状態で高齢まで生きるのはどんなに大変だろうかと考えてしまう。


絵本には裁判までしか書いてないけど、新聞では別の事も書かれていた。
公害で広がったカドミウムを川の流域から取り除くために、土壌の入れ替えまでやって何とか農業を復活させたが、入れ替えた土壌の陥没が起り、機械を入れられなくなったらしい。陥没は大きくはないが、機械の一部がそこにはまると動かせなくなるために、その田んぼでは農業の継続が難しくなるのだと。

結局、一度汚染された土地は、上手く使えないらしい。


カドミウム汚染の影響は百年経っても終わっていない。


公害病は過去の事と思われていそうだけど、『自然を汚染する影響』を考えると現代は『原発事故』が公害病に近いのではないだろうかと思う。もう少し形を変えると『今、流行している感染症』もある意味では、人災であり公害病に近いような。
時代が変わっても、国がやる事は変わらない。



『公がいというのは 人間が人間をおしつぶすものでね おしつぶされた人間を すくうのも また人間じゃないかと思うんですよ』


絵本の中の『みよさん』の言葉。
けれど、私は救われると思えるのだろうか?とも考えてしまう。

みよさんの たたかいとねがい
–2021/12/20 金澤敏子 (著), 生地京子 (イラスト)