青空文庫の「フランケンシュタイン」を読んでみた。
画面で読むのは、難しい&辛いので、両面印刷をして紙で読んだ。……印刷頑張った。自画自賛。
以前、NHKの『100分で名著』でとりあげていた。けど、あまり頭に残ってない。
誰かの語りで物語が続いていく。フランケンシュタインは怪物を作った人間の名前。
……この程度。
と言う事で読みすすめた。最初は、探検家の手紙から始まる。
探検家がフランケンシュタインに出会い、その話を書き記すというのが序盤だった。
正直、出だしは全く惹かれない。失敗したかなと思った。
探検して、氷に阻まれて進まない……なんだそれ。と。フランケンシュタインの語りも、最初は人が次々に出てきてよく分からない。でも、怪物が出てくるあたりから面白いと思い始めた。
最終的に怪物が、いろんな人を殺し続ける……という狂気に陥るのだけど、ちゃんと堕ちていく過程が描かれているので、共感しやすい。で、思う。
これ、毒親と毒親に育てられた子供の話じゃないか。……そーいえば、名著でも、そんな話があったような…なかったかな。
愛情を注がれない事がどれだけ人を、歪に変えていくのか。
怪物と言われるものも、最初は『何も分からない無垢なるモノ』
その見た目から、周囲に怯えられて迫害されて、どんどん狂気を育てていく。
フランケンシュタインの『生命を作りたい』という感覚には一切、共感できないケド。
でも、『生命を作りたい』は普通に考えれば、大半の人が『子供をもつことが幸せ』と考えてるのと同じものなんだろうなと思う。
それらも含めてやっぱり『毒親(親になれない親)』の話なのだろうなと。
最終的に怪物は、創造者であるフランケンシュタインを憎んで、周囲の人を殺していく。そして、最後に創造者に「自分を追いかけさせる」ことにする。怪物を追いかけて殺す事がフランケンシュタインの役目になる。
なぜ、怪物はフランケンシュタイン(創造主)を殺せないのか。というのも『親だから』の一言に尽きる。
最後にはフランケンシュタインは怪物を殺すことなく、死んでしまう。
怪物も一人で誰もいない場所へ行って、死ぬことに決めて物語が終わる。
殺し合うほど憎み合いながら、殺すことは出来ない。
怪物といわれるものを作った後悔はあっても、怪物にしてしまった後悔を持つことがないフランケンシュタイン。なんていうか……あまりにもリアルな毒親家庭の図を読まされている気分になった。最終的に怪物は『自分だけを追いかける親』を手に入れている。
子供が必死で自分だけを見てと言うのと同じだな……と思いながら読んだ。
最初に戻る。最初は探検家の話だった。
探検家の方は探検を諦めて帰る……というオチになっていた。
そして、探検家には帰りを心配している家族がいる。平和で幸せな探検家の家族と、憎しみと恨みで拗れた家族。
その対照が、ますます怪物とフランケンシュタインの影を際立たせているのかな。
……重くて、お腹いっぱい。
次はもっと、軽いモノを…と思ったけど、次はもっと変な世界の物語を読んでいる。